2019-02

2019-02-26
『ゆるブラック企業&パープル企業を求める若者』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

Twitter上で「ゆるブラック企業」という概念が
話題になったという記事がありました。

特徴として、

「何年働いても月給20万ちょっと」
「キャリアパスなし」
「他社で通用するスキルが身につかない」

ということがあがっています。

同じような意味で放送作家の美濃部氏が
「パープル企業」と名付けたようです。

「仕事は過酷ではないが、組織として崩壊し、
勤めていても何のスキル向上が図れない企業。
仕事が楽なため無為に長年勤めてしまい、
その結果、他の企業や社会ではまったく通用しなくなる」

と定義付けています

「ゆるブラック企業」でも「パープル企業」でもいいのですが、
共通して言えるのは、
給与の高さは望めないが楽な仕事で構成されている点。

安住しているうちに、浦島太郎状態で
使えないビジネスマンになっている点です。

世の中で必要とされている仕事ではあるが、
実際にこういう会社はあります。

私の知り合いで
今の会社に転職した経緯を話してくれました。

ある会社では、高速道路を車でゆっくり走り、
道路に不審物が落ちていないかをチェックする。

不審物が落ちていたら危険なので除去する。
そういった仕事を20代の頃、やっていたようです。
(※周囲は60歳前後の年配の方ばかり)

最初は楽な仕事で残業も殆ど無いし、
いい仕事だと思っていました。

しかし3年も5年もやっていると、

「あれ?俺って何ができるようになったんだろう。
 万が一、この会社がダメになったら、
 俺は何ができる人間なんだ?使えないよう奴になっている?
 ただ時間だけ過ぎているだけで何か成長したのか?」

今の自分と将来の自分を冷静に考えた時に、
急に焦りを感じたそうです。

それで今の会社に転職を決意したと。

キャリア思考がない人にとっては、
「パープル企業」や「ゆるブラック企業」は
最適だという人もいます。

でも成長できる職場ではないならば、
非常に「リスク」を抱えているということも
認識したほうがいい。

人材難だから何にでもなる!と安心している方。
仕事はあっても転職するたびに、
給与が右肩下がりに鳴っている人もいますから。

会社や仕事が楽か楽ではないか、
それだけで選んでいる若者がいれば教えてあげたいですね。

その考えは非常に危険。
まだ若いのに社会から必要とされない人間に
なってしまうかもしれないのだから…。

 

2019-02-23
『社長が言ってはならない禁句』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

先日、A社長の方から教えていただきました。

A社長)
「私も昔は社内でよく言っていたんですよ。
 仕事はお金じゃない。“やりがい”だろ!と。 
 でも今はそれは言わないようにしています」

松本)
「なぜですか?」

A社長)
「社長が“やりがい第一”を言ってしまうと
 社員の中には、社長はもう給料を上げる気がない。
 やりがいで社員を動かそうとしていると思う人が
 いるからです」 

松本)
「そのように受け止められると?」

A社長)
「今現在、社員の待遇について改善をしていていれば、
 その発言を聞いても社員は好意的に
 受け止めることもあるでしょう」

松本)
「なるほど。待遇改善が進んでいない中で、
 社長が“やりがい”を強調すると、
 やりがいでごまかしていると受け止められるわけですね」

A社長)
「管理職(彼・彼女らの上司)が“やりがい”を
 強調するのは構いません。それが一番いいかもしれません。
 経営者は言わない方がいい時がある。
 “やりがい”は彼・彼女らが感じることですから」

松本)
「仕事をする上で“やりがい”が必要ないと思っている経営者は
 まずいないですよね。
 でもその発信の仕方には要注意ですね」

私の知っている会社でも同じようなことがありました。
そこの社長は社員に“やりがい”を強調します。

「うちの給料は高くはない。
 でもすごくやりがい”があるからいいでしょう。
 給料なんで数万あげても、ありがたみもなくなる。
 だから“やりがい”だけいかにあげるかを考えればいい」

実際にこの会社では、
一定の年数・階層から離職者が
相次いで出るようになってしまいました。
 

経営者は思っていることをそのまま発信してしまうと
社員の心が離れてしまう場合がありますね。

TPOに合わせて、地雷を踏まないように…。

 

2019-02-21
『社員を大切にする経営者はお坊さんです』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

先般、道頓堀ホテルで有名な王宮さまへ取材に行ってきました。
(※こちらの対談動画はまた別途ご案内します)

橋本専務との対話、第2弾です。

以前は2ヶ月に1人辞めるような会社だった王宮様。
90%を超える稼働率でほとんど人が辞めない会社に
生まれ変わりました。

社員を大切にする仕組みを次々に実行。

・社員が病気の場合、50万円まで会社が治療費負担
・40歳以上の社員対象 3年に1度 PET検査(20万円相当)
・社員の配偶者への誕生日プレゼント 上限1万円
・社員のお歳暮 上限1万円

などなど。

ここまですると、お知り合いの経営者からは

「そんなことをすると会社は潰れてしまうよ」

と言われるそうです。

私もそう思います。

「そうならないように常に
 これからの戦略やビジネスモデルを考えている。
 それが経営者の役割なので。
 
 現場で収益を生み出しているのは彼・彼女らの力。
 ミッションを軸に想像以上の働きをしてくれている」
 
「社員を大切にしたいという制度を運用していくと
 配偶者や家族の方にもそれが伝わる。
 
 “あなた、いい会社に勤めているわね。
  絶対辞めてはダメよ!“と
 
 家族が会社を支持してくれる。
 おそらく過去は不規則勤務などで、
 家族の反対もあり支援がなく、
 辞められた社員もいたのではないか」

と話されていました。

会社を何のために成長させていくかといえば、
“社員の幸福のレベルを上げていくため”という信念が
伝わってきました。

私は意地悪な質問をしました。

「そこまで福利厚生を充実させても、
 いずれそれが当たり前になるのでは?」

「当たり前になるでしょうね。
 しかも一度始めると止められない。
 
 私だって人間ですから、ここまでしているだから、
 このくらいやってほしい!とイライラすることはあります。
 
 でも人間なんてそんなものだと割り切るしかない。
 イライラするならば、上がってきた明細を見ません」

社員を大切にしたい経営者って
お坊さんに近い「修行」ですね。

福利厚生を充実させていくと、
「社員にもっと意欲的に動いて、もっと主体的に動いて」
と求めてしまいがち。

Give & Take の発想を持ちますよね。

Takeへの願望を捨てる、Takeに拘らないというスタンス。

私にとっては厳しい「修行」だなと思いました。
まだまだ未熟者です。

 

2019-02-17
『最大の反対勢力は社内?』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

先般、道頓堀ホテルで有名な王宮さまへ取材に行ってきました。
(※こちらの対談動画はまた別途ご案内します)

橋本専務にお時間をいただき、
経営赤字が続いた状態から、どのように脱却したのかを
お聞きしました。

橋本専務は会社変革できた要因として、

1 戦略
2 社風
3 使命(理念)

をあげられています。

それまで国内のビジネスマン向けに宿泊を提供していたため、
価格競争に巻き込まれる。

そこで海外からの個人旅行客(若い女性)を対象にし、
日本の文化を体験できるホテル(コト売り)へ
コンセプトを変えました。

当時の社会・顧客ニーズに合わせ、
ブルーオーシャンを狙っていく上では
正しい戦略だったと言えます。

ただし当時いた社員からは強く反対されたそうです。

「語学が話せない」
「そんなイベントやっているホテルは他にない」

などなど。

そこに「共感」は生まれていなかったようです。

彼・彼女らからすれば「不安」もあり
「常識」という殻から抜け出せなかったのでしょう。

ですので戦略実行までに1年間の下準備を要し、
5年の社風改善が必要だったと。

使命(理念)によって社風が改善されてから、
戦略が想像以上に軌道にのったと言います。

経営者や経営幹部が
イノベーションを起こせない、
戦略の舵を大きく切れないのは、
社内から反対され説得しきれないという理由も
あるのではないでしょうか。

実際に動くのは現場ですからね。

重い石を動かし、
共感してもらうことには労力がいる。

そこがネックになり、断念してしまうことも
あるのではないかと思います。

戦略を機能させるのは社風なんですね。

橋本専務は
「社風が変わるのに5年~7年かかる。
 一方で社風は壊れやすい」とも言います。

経営品質に拘っている経営者は、
共通して同じことを言われます。

 

2019-02-13
『社員を大切にしたい経営者が陥る罠』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

私が理念経営や人材育成を中心にした仕事を
しているからでしょうか。

私の周りには「社員や社員の家族も大切にしたい」と
顧客満足以外の領域にも積極的に目を向けています。

世の中の働き方改革の流れもあるでしょう。

皆さん、様々な福利厚生の制度を新たに作るとともに、
働きやすい環境づくりに努めています。

長年働いている社員さんからすれば、
過去と比べた変化を感慨深く思っている方もいます。

幸せを2つに分けるとすれば、

1.与えられる幸せ=受動的
2.作り出す幸せ=能動的

ということになりませんか。

経営者が先頭をきって、職場の課題点を次々に解決。
働きやすい環境を作っていきます。

整った環境で社員は働けるようになる。
これは与えられる幸せです。

社員を大切にしたい会社の経営者ほど、
全て整えて上げて、幸せな環境を
プレゼントしている傾向があるように思います。

上記のような行動をすると

「社長は優しい!」「社長は社員を大切にしてくれる」

とか、社長の株は上がります。

それは気持ちいいですね。

ただしこれを全てやってしまうと
社員は脆弱になります。

・ルソー
「子供を不幸にする一番確実な方法は、いつでも、なんでも
 手に入れられるようにしてやることである」

会社には、いくらか不満や不憫、不快があるくらいが
丁度いいのかもしれません。

私も働いているスタッフに幸せになってもらいたいと
嘘偽りなく思います。

ただ目の前にある課題解決に踏み切るべきかは
考えます。

「幸せを自ら掴み取る」「幸せを自ら作り出す」

強さと逞しさが彼・彼女らにも必要だと思うからです。

受動的な幸せ+能動的な幸せ。

どちらも欠けることがないように。

 

2019-02-09
『切り取られた情報がパワハラに発展する』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

1.町田市の総合高校で生徒が教師を挑発して
教師が暴行を働くという事件が発生しました。
執拗に挑発し計画的とも言われました。

2.道路拡幅に伴う用地買収が進まないため、
「立ち退きさせてこい。今日、火をつけて捕まってこい。
燃やしてしまえ」等と担当幹部に暴言を吐いて
兵庫県明石市長が辞職することになりました。

パワハラ発言はニュースとして
数字が取れるジャンルになっているようです。

上記2つの例は
共に暴言を吐いたことは避難されるべきでしょう。

ただ2つのニュースともに、
「パワハラをした行為」だけが抜き取られて
最初は放送されていました。

そして次第に前後の文脈まで情報開示されて、
風向きがやや変わったように思います。

1で言えば、生徒の方も問題では?というコメントが
出てきました。大人を舐めるなよ!と。

2で言えば、この叱責された担当職員は
今まで仕事をしていたのか?
一般企業ならば成果ゼロで何年間も過ごしていたことになる。
前後の文脈で語られる市長の思いや大義は間違いではない。

切り取られた一部の情報だけでパワハラ!と騒ぐ。

しかし前後の文脈まで情報を拾うと、
両者に問題があることが分かり、風向きが変わります。

これらは意図的に情報を切り取られているか、
人を介していくたびに情報が切り取られているか、
インパクトがある情報だけが広がっていくか。

これらは企業でも同じようなことが
起きていると思います。

上司の発言から揚げ足を取る部下も残念ながらいます。

そして

「あなたは成果を出していないから
 まだまだ会社に貢献していない」

「もっとやる気を出さないとみんなの足を引っ張る」

こういった発言もパワハラと言われるようになっています。

発言の一部だけ切り取られて、
パワハラとして総務人事に連絡が行きます。

これも上記のニュースと一緒で、
その発言そのものはNGなのでしょうが
前後の文脈が完全に切り取られて独り歩きするのです。

パワハラというキーワードに敏感な社会になりました。

そこに注意が向くこと自体は悪くないのですが、
前後の文脈まで情報を把握してから
判断してもらいたいものです。

 

2019-02-06
『半径10メートルから組織を変える』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

先般、ホワイト企業大賞の授賞式に参加させていただきました。

各企業さま、経営理念に基づき、様々な取り組みをされ、
顧客、従業員と従業員の家族、そして地域に必要とされる
企業をひたむきに目指されていました。

私が今回驚いたのは、
支店単位、部署単位で応募している企業が
複数あったことです。

従業員の幸福度と企業規模は比例しません。
相関関係もないでしょう。

企業規模が大きいが故に、
風土改革が進展しないということもよくあります。

ホワイト企業化という取り組みに
興味がある経営者もいれば、無関心な経営者もいます。

やはりトップが介入しなければ、
最終的に大きなムーブメントは起きないでしょう。

多くの場合、大企業になれば
トップの考え方を変えることができず、
諦めて、現場は愚痴っていることが多いかと思います。

「どれだけ現場で頑張ったって
 やってもムダだ…。
 社長の考え方が変わらなければ…」と。

でも今回応募されている方は、
自分の支店だけでもまずはホワイト企業になることを
選択されていました。

社内全体でほんの一部分ですが、
スタッフのイキイキ度は間違いなくトップクラスと
自信を持って話されていました。

ここのメンバーが他の支店に異動になった場合は、
また0から再構築になるかもしれません。

経営トップの理解と後方支援がないまま
活動することは困難もあるでしょう。

でも自分が影響を及ぼせる
身近な環境だけでも理想の組織にしようと
努力する姿に感銘を受けました。

大企業であればあるほど、
理想的な組織は時間を要する。

でもまずは半径10メートルの組織を変えることから
始めたいものです。

 

2019-02-01
『衰退する日本=衰退する日本企業』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

先般、若者研究の原田氏の講演を聞く機会がありました。

若者の価値観の変化や具体例はすごく面白かったのですが、
それ以上に共感した点があります。

それは会場からこんな質問が出ました。

質問)
「何も望まない、今に満足している若者が増えている。
 そういった人財を我々中小企業は活かしていかないといけない。
 もちろん企業側として努力しますが
 本当にそれでいいのか?この先どうなるのでしょう?」

回答)
「発展途上国では概ね、ハングリー精神が高い。
 成長していく実感と成長していく未来がイメージできるのでしょう。
 日本に限らず先進国では概ね、どこの国も現状満足になりがち。
 何もしなかったらギリシャのようになっていくでしょうね。
 私はこの国では、公にエリート教育をするべきだと思う」

私も同感しました。

「エリート」という言葉に違和感があれば
「選抜」「特別」と置き換えてもいい。

もっと日本全体で言えば、
公然とヘコ贔屓の教育をしていくべきでしょう。

「切り開ける人財」に投資をしていく。

全員が切り開ける人財になれるかと言えば
現実は異なる。

企業も一緒ではないかと思います。

「底上げ」という意図の人材育成も必要ですが、
「切り開ける人財」に集中して
投資をしていくことも必要でしょう。

「選抜」教育や「特別」教育は、
平等の観点から避けてしまう企業が多い。

出る杭は打たれる文化がまだ残っている。

「平和ぼけした日本」と揶揄されますが、
「平和ぼけした企業」にならないうちに
手を打たないといけません。