経営理念浸透ブログ
2024-12-13『さかなクンは○○と言いました』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
東京海洋大学客員教授であり、
お魚大好きなさかなクン。
テレビ等でも見る機会がありますね。
さかなクンが以前、発信していたコメントで
共感したことものがあります。
要約すると
「メジナは広い海の中で仲良く群れて泳いでいるが、
せまい水槽に一緒に入れたら、
1匹を仲間はずれにして攻撃し始める。
怪我して可哀そうだから、その魚を別の水槽に入れた。
すると、残ったメジナは別の1匹をいじめ始めた。
助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきた。
いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子が表れた。
広い海の中ならこんなことはない。
小さな世界に閉じ込めると、なぜかいじめが始まる。
同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士なのに」
学校や職場、あらゆる組織でも
メジナと同じような現象が起きることがありますね。
狭い世界(=狭い職場)にいると、
同じ職場の人のことを「ああだ!こうだ!」と言い出す。
外部から見たら対した事ではないのに、
他人への批判や不満が止まらない。
これって狭い世界に居ることが
居心地がよく、安住しているか?とも思います。
視点や関心が組織内部しか目が向いていないと、
顧客やパートナーの支持・信頼は得られないですよね。
広い海ではメジナは、協力しあえるようです。
外的から身を守るために
仲間同士の違いを受け入れ、
一致団結しているからでしょう。
A社の人事部の方は、
「あまり暇になると、人の欠点を探すんだよね。
他人の批判・不満を止めない人は、暇なんだよ。
適度に忙しかったり、夢中になっているものがあれば、
そんなことをしている時間はない」
とも言っていました。
広い海では「暇」という状態はなく、
適度に緊張感があるのかもしれません。
職員全員がどこを向いて仕事をしているのか。
狭い世界ではなく、
広い世界に目を向けているのか。
現状を確認してみましょう。
2024-12-06『楽をすることはサボることはでない』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
「楽をする=サボる
楽をする=手を抜く」
と捉えている会社はないだろうか?
A社では経営会議の議事録を
若手社員が取っている。
会議は2Hにも及び、
2Hの発言内容のほぼ全てを記載しなければならない。
正確に文字起こしをすることが求められるらしく
ICレコーダーで録音し、聞き取れない所は後日確認。
他部署にも展開するらしく、上司もダブルチェック。
正確な議事録を作るのに8H近くかかっているようです。
タイプパフォーマンスの観点で疑問を持った
若手社員が提案しました。
「結論を明記すればいい。プラス結論に至る重要な意見だけ
記載することで十分ではないですか?」
「議論のやりとりは、AI議事録を使って文字起こしを
見てもらえばいい。
ホワイドボードに書いた結論だけ写メで共有すれば
十分ではないでしょうか?」
それの提案を聞いた上司は、賛同しませんでした。
「若手社員は議事録を取りながら、学べることもあるので
今までのやり方を続けよう。
楽をしようと考えてはいけない」
おそらく一部の社員が「この仕事は面倒だな」と
思ったということは、他の社員から見ても面倒な仕事です。
誰にとっても面倒な仕事ならば
「楽をする=効率化」のアイデアは
むしろ歓迎されるべきですよね。
楽をしたいと思うことは、改善の種です。
「怠け心=悪」と捉えてはいけません。
・苦労をしなければ仕事ではない
・仕事は楽をすることは考えずにコツコツやるべきだ
このような社風(=苦労することは美徳)であれば
仕事のやり方はこれからも変わらない。
しいてはDX化にも出遅れて、
若手社員の不満も積もっていくかもしれません。
楽をした方がよいことをみんなで考えて、
楽な方法を見つけたいものです。
2024-12-02『退職者は裏切り者ではない』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
皆さんの会社では、
退職者にどのように接しているでしょうか?
会社の風土によって異なりますが、
退職者を「裏切者扱い」するような会社もあります。
本人が退職意向を伝えてから退職日まで塩対応をする
ハラスメントのような対応をしたり、
過剰な引継ぎや業務を押し付ける。
有休も消化させないようにする。
こういう会社は、
辞めてから陰で愚痴を言い続けています。
「アイツは実は使えない奴だったよな。
どこの会社に行っても通用しない」
「アイツは自分勝手な奴だった。
もっと会社に恩を感じていないのか…」
「辞めたアイツとは連絡を取るなよ。
二度と口も聞くな。関係を断ち切れ」
手塩にかけて育ててきた人材が
他社に転職してしまう。
とても悔しい気持ちがあるのでしょう。
だから退職者への不満や愚痴が止まらない。
しかし残っている社員がその光景をみたら…。
彼・彼女らの不満や愚痴を
聞いていたらどう思うか…。
(もちろん重大なトラブルをして
会社を去っていくのは別です)
退職者に冷たい対応をして
器量が小さい会社だな…と思うかもしれない。
自分も退職時には同じように
陰で愚痴られるのかな…と思うかもしれない。
残念ながらこういう会社には
「出戻り社員」はいないでしょう。
「出戻り社員」は外の会社も知っているため、
自社の価値を再認識した貴重な人材です。
私も過去に賞与支給翌月に退職を
したことがあります。
直近半年の考課はA評価でした。
しかし既に退職意向を伝えていたため、
C評価までに下げられてしまいました。
結果、C評価の賞与支給額でした。
辞める人間にお金を払いたくない。
今いる社員にお金を使いたい気持ちも
分からなくもありません。
しかしAレベルの功績を残したにも関わらず、
そこは考慮してもらえず、
がっかりした覚えがあります。
いつか生活環境が変わって、
また復職したいという声があがるかもしれない。
ビジネスパートナーとして、
一緒に仕事をするかもしれない。
お客様(ユーザー)として、
関わり続けるかもしれない。
退職者への仕打ちは、そのような可能性を
全て自ら断ち切ってしまうことになる。
世の中は思ったよりも狭い。
どこでどう繋がっているかも分からない。
裏切者ではなく「卒業生」として、
見送りたいものです。
2024-11-29『性弱説で仕組み・ルールを見直す』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
「経営者に必要なのは、
経営学だけではない。
心理学も知らなければ、
上手に経営することはできない」
新卒でお世話になった会社の社長が
そのようなことを言っていました。
つまり「人間」というものを
深く理解すること。
お客様も「人間」であり、
社員も「人間」です。
人間の本質や特性を知ることが、
経営者は特に必要だということでしょう。
会社の仕組みを作る上で大事なことは、
「性弱説」に基づくこと。
そのように教わったことがあります。
つまり人は生まれながらにして、
弱い生きものである。
頑張ろう!と思っても長続きしない。
継続することが苦手である。
面倒くさいこと、手間がかかることは
後回しにする。
苦手な人とはコミュニケーションを
取りたがらない。
誰も見ていなければ、少しくらいはバレないと
ズルをしてしまうこともある。
決まったやり方があっても、
自分のやり方を優先したいと思う。
弱い生き物であるがゆえに、
様々な誘惑があります。
他者の目や体制、ルールがなければ、
誘惑に負けてしまうかもしれません。
「弱い心」であっても始められる方法はないか?
「弱い心」であっても続けられる方法はないか?
「弱い心」であってもできる方法はないか?
会社の仕組みやルールを作るときに、
優等生の観点では構築してしまいがちです。
「弱い心」を持った
「弱い人間」の観点で
今一度、見直していただくと、
改善点が見つかるかもしれません。
2024-11-22『若者と接するから若いままでいられる』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、A社の人事部長(Y氏)の講演会に
参加する機会がありました。
A社では若い学生にアプローチするだけでなく、
外国人留学生や障害者、高齢者や主婦など
様々な層にアプローチをして
地元では採用が上手くいっている会社です。
Y氏は採用の最前線に立ち、
様々な人が働ける環境を整備しています。
また大学・専門学校にも積極的に足を運び、
学校とのパイプづくりにも努めています。
Y氏は70歳らしく、
私含めて会場のほとんどの方が、
そのエネルギッシュな姿勢に驚きました。
Y氏は冗談ぽくお話されます。
「70歳に見えないですね!とよく言われます。
仕事柄、20代の学生さんととにかくよく話します。
彼・彼女らから学ぶことが多いんですね。
一方、引退した同年代の知人から同窓会の話も来ますが、
あまり行かないですね。
どうしても後ろ向きな話も多いですし。
私自身が70歳になっても、これだけ元気でアクティブに
動けている秘訣は、普段から若い人と接しているからです。
彼・彼女から刺激と気づきを毎回いただいているんです」
私たちは、普段接している人から
知らず知らずのうちに、影響を受けています。
世代間ギャップを感じ、
「最近の若い人たちの考え方は理解できない」
と思って、若者と距離を置くこと。
それはシニアの方にとって、
さらに良い刺激をもらえる機会を
自ら逃しているのかもしれません。
美しくいたいのならば、
美意識の高い人と行動を共にする
純粋で元気でいたいのならば、
子供と一緒に遊ぶ。
若い気持ちを持ち続けたいならば、
若い人と出会い対話する
日常的にどのような人と出会うか。
私たちの思考と態度が変わっていきます。
2024-11-18『7分間の奇跡』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV10月号のゲストは、
合同会社おもてなし創造カンパニーの
矢部輝夫氏。
前職時代、TESSEIにて
功績を残された方です。
従業員の定着率も低く、
事故やクレームも多かった新幹線の清掃会社に
「トータルサービス」の考えを定着させ、
おもてなし集団へと変革しました。
経済産業省「おもてなし経営企業選」、
「サービス・ホスピタリティ・アワード特別賞」を
受賞したほか、ハーバード大学ビジネススクールが
2015年からMBAのケーススタディとしても
採用されているそうです。
東京駅であの短い時間で
新幹線内を綺麗に清掃。
一礼をするスタッフの姿を
ご覧になったことがあるでしょう。
「7分間の奇跡」とも呼ばれています。
仕事を再定義しました。
「掃除屋」ではなく、
お客様の「思い出づくり」業へ。
制服も変えたことも
意識変化に繋がったといいます。
たかが制服。されど制服。
清掃グッズも外部から汚く見えないように
改良しました。
意識を変えるために
形から入ることの重要性を教えてくれました。
また認め合う文化を作ることにも尽力します。
100ー1=0
これは通常、1回のミスが命取りになる、
1回のミスがすべてを台無しにするという意味で
サービス業の研修等で使われます。
矢部氏は、上記の様に考えず
「99」のことを忘れてしまっているのでないか?
と捉えます。
普段、きちんとやってくれている「99」に着目し
認め合うことが重要ではないかと考えます。
それはエンジェルレポートいうものに書かれ
年間にして1万件以上、寄せられるそうです。
TESSEIの事例は
ハーバードビジネススクールで
扱われることからも稀なケースです。
自分たちの仕事を再定義して、
あれだけプロフェッショナルな仕事を
されているわけですから。
皆さんの会社にも応用できる点が多々あるでしょう。
2024-11-14『多面評価を間違わないために』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
フィードバック研修や人事査定時に、
他者(多面)評価の要素を盛り込んでいる企業が多いかと思います。
他者(多面)評価を実施すると、
社員にストレスがかかることは研究で検証されています。
だから運用には丁寧な計画や配慮が必要です。
自己評価よりも悪い他者評価を受けた人は、
以下の3つの行動をとりやすいそうです。
1 詮索
自分に悪い評価を付けたのは誰かを探る。
なぜそのようなことを書くのか、
細かく調べようとする。
2 防衛
自分が受けた評価を認めず、頑なに否定する
3 態度硬化
自分の態度や意見を押し通すために、強固な態度になる
この3つの行動をとってしまうことは
予め容認しつつ、
内省を通して、自分と向き合う時間が来る。
誠実に向きあうモードになれば、
気づきも深く、行動変容にまで至ります。
自己評価と他者評価は基本的にズレが生じる。
特に最もギャップが出るのが上司評価と自己評価です。
評価対象者が上司であることがほとんどなので、
ギャップが大きい=上司への不満が出やすいということです。
自己評価が高く、他者評価が低いことを
フィードバックされると、成長に繋がる可能性が高い。
多面評価は強力な行動変容ツール。
だから日常的に使われています。
しかし心理的なダメージが大きい。
「気づき」にはショックが必要ですが、
ショックのコントロールをする必要があります。
2024-11-03『部下は育つのか?それとも育てるのか?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
人材育成の方針は、大きく分ければ2つに集約される。
育つのか?それとも育てるのか?
「人が成長するかはその人の資質次第。
育てられるなど、おこがましい。」
という人もいる。
一方で
「人は必ず変われる。手塩にかければ成長する。」
という人もいる。
どちらが正しいか、
議論した所で結論は出ない。
人は人により影響を受ける。
人材育成で要となるのが「フィードバック」です。
学術研究によると、当たり前の話だが
フィードバック効果を高める上で重要なのは、
フィードバックした人とされた人との関係性。
上司との関係性が良好であれば
部下は自らフィードバックを求める傾向もあるそうだ。
一方、関係が悪いと
学習活動が抑制され、
相手が改善しようとする気が起きない。
つまりフィードバックが無意味になるということ。
またフィードバックする人が持つ「暗黙の知能観」も
フィードバック効果に大きな影響を与えるそうだ。
「暗黙の知能観」には大きく2つ。
A:固定理論
人の能力は固定的で変わらない
B:増大理論
人の能力は努力によって伸ばせる
AとBのどちらの知能観を持っているかにより、
考課面談の方法も変わってくるでしょう。
Aであれば「結果」を伝えることに
重きをおく。
Bであれば今後の「伸びしろの開発」に
重きを置く
少なくとも若手人材の育成を担う方は
「増大理論」を持っていてほしい。
2024-10-31『飲みニケーションに一工夫』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、取材に行ったA社では
年に何回か「社長と飲みニケーション」が
企画されています。
A社ではあるツールを使って
個々の行動特性の分析および結果の共有をしています。
その結果を踏まえて、
自己主張と自己表現が苦手な人が
一定数いることが分かりました。
そこでそういう人たちの特徴を考慮し、
飲みにケーションの場でも一工夫されています。
・乾杯と締めの挨拶、席はくじ引き、
・乾杯の後は自己紹介と近況報告=チェックイン 3分/人
・その後は社長に一人3つの質問(※予め各自で準備)
・チェックアウト 1分/人
その場で急遽、何か話して!と言われても、
即答に困るタイプもいます。
そのために予め参加者には、
上記の内容が伝えられています。
共通の話題があったり、
自己開示の要素があった方が、
その後に歓談もしやすいですよね。
A社ではこの飲み会を
楽しみにしている方が多いそうです。
会社で行う飲み会が
ただの飲み食いで終わってしまっていて、
もっと有意義にできないかな?
と思うことがありますよね。
一方でそんなに堅苦しくしなくても…
という声もありそうです。
せっかくの懇親の場を設けるならば、
もう少し意味にあるものしたい。
そのように思われる方は
A社のように飲みニケーションに
一工夫してみてください。
2024-10-19『日本で初めて徳目評価を導入』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV 9月号のゲストは、
富士製薬工業の今井会長。
産婦人科領域治療薬としては、
日本トップメーカーです。
加齢と共に起こる女性の体調変化。
まだまだ日本医療は女性に
ウィルビーングに寄り添えていないことに
危機感をお持ちでした。
さて富士製薬工業様は
日本で初めて「徳」を評価制度の軸においた会社です。
徳とは「自己の最善を他者に尽くしきること」
と今井会長は定義しています。
2011年から徳目評価として社内で運用スタート。
毎年改良を繰り返しています。
他業界から「徳目評価」に関心を持ち、
お話を聞きに来る方もいらっしゃるそうです。
7つの徳目(仁・義・礼・智・信・覚悟・中庸)
19の指標に分かれています。
内容は、日本人として、
人間として大切な基本原則のような項目です。
上司だけでなく周囲のメンバーからの
他者評価を入れています。
今井会長のお話で興味深い点は、
「実績を出している社員は、
徳目評価が高いという相関関係。
それが何年も運用しているうちに見えてきた」
という点です。
短期的視点で言えば、
おそらくスキルの高い人材、経験値が高い人材が
実績を出していたのかもしれません。
しかし長期的視点に立つと
実績を出し続けるには
「徳目」が外せないということが分かってきたようです。
「昔はコンピテンシー評価などを導入してみましたが、
何かフィットしない時代がありました」
とも言われていました。
この違和感を放置しておかなかった点が
素晴らしいですね。
短期的ではなく長期的・持続的に
結果を出している人材は、
「徳目」に準じた行動をしている。
持続的成長を考える経営者は、
経営の軸に「徳」を置いてみてください。