経営理念浸透ブログ
2023-03-23『新任リーダーが陥りがちな罠』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
残すところ3月も残り半分。
来年度4月に、はれて部下を持つリーダーへ
昇格する方もいるでしょう。
リーダーに昇格すると会社から期待されることや
部署内での役割は大きく変わる。
何かしらのマインドセットが必要でしょう。
メンバー時代に不満を多く持っていた方は、
こんな風に考える人がいる。
「前任リーダーを反面教師にしよう。
前任リーダーとは違って私は部下の声に耳を傾けたい。
そして部下の困っていることを1つ1つ解決してあげたい」と。
それ自体は悪いことではないのだが、
部下の声に100%耳を傾けて、
いいリーダーを演じてしまうと後々苦しくなる。
部下の声や不満の中には、
会社として解決するべき課題も含まれているが、
個人的な「甘え」や「わがまま」が含まれていることがある。
これを一緒くたにしてしまう。
ですから耳を傾けることはあっても、
「選別する力」が必要です。
リーダーは部下の困っていることを
全部解決してあげないといけないと
肩に力が入っている新任リーダー。
部下の上司であると同時に
会社の方針と現場をつなぐ役割も担っていることを
忘れないようにしたいものです。
2023-03-17『承認欲求を必要とする人は?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
「自分を価値ある存在として認めたい」という欲求を
承認欲求と言います。
承認欲求には2種類あると言われています。
他者承認:他人から認められたい欲求
自己承認:自分を自分で認めたい欲求
承認というとどちらかというと「他者承認」を
思い浮かべますね。
劣等感が強い人、自分に自信がない人、目立ちたがり屋な人。
こういう人ほど他者承認を求めやすい傾向があります。
一方、自己承認欲求は技術や能力を高めて、
自己信頼を高めることで満たすことができる。
自分の基準で自分を認めることができる。
他人に依存しせずに、自分を満たすことができるので、
モテベーションの安定には効果があります。
一般的に「他者承認」は相手依存であるため、
他人が毎度ガソリンを注がないといけないイメージを持つ。
だから面倒なイメージを持つ経営者もいます。
しかし言葉にはしませんが、
管理職であっても「他者承認」を欲しています。
経営者の承認の言葉があるから、
「もっと頑張ろう!」と思える。
もちろん承認がなくても、彼・彼女は責任感から
やるべきことをやろうとしますが、
給油タンクは枯渇していたりします。
もっと言えば経営者も承認欲求を持っています。
以前、盛和塾に参加したことがありますが、
「稲盛塾長に認めてもらいたい。よくやったと言われたい」と
いう経営者は数多くいたように思います。
世の中には「○○賞」といったものが多数ありますが、
受賞=他者承認ということでもある。
経営者にとって「会社=自分」です。
世の中から、地域社会から
「あなたの会社があって本当によかった!」と言われたい。
これも承認欲求ですね。
「最近の若い社員は他者承認を求める」
と言われがちです。
しかし管理職も経営者も、相手は違えど
他者承認を求めているのではないでしょうか。
あなたがいてくれてよかった。
あなたの会社があってよかった。
それが頑張る動機になるのならば、
決して他者承認も悪くはないと思います。
2023-03-10『居心地がよい会社はダメ?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
「居心地がよい会社」
というと、
どちらかという“マイナス”な意味で使われます。
特に大きなプレッシャーがなく、
自分の地位が脅かされることなく
安定・安心できる環境であると
“居心地がよい”と言われたりしますね。
上記のような“居心地のよさ”に浸からない様に、
もっと成長できる厳しい環境を用意しないと!と
経営幹部の方は考えたりしますね。
もう一つの“居心地の良さ”として、
「その人がその人らしくいられる」と意味もあります。
以前お会いした経営者は
「組織風土において大事にしていることは、
その人がその人らしくいられることだ」と
言われていました。
私の周りにもいらっしゃるのですが、
職場を離れるととても優しい方、
仕事を離れると思いやりのある方、
がいらっしゃします。
職場外で会っていれば、良き知人。
職場内になると関わりたくない人。
会社に組織人の一人になったり、
役職がついていて職場に戻ると、
「嫌味な人」に変わってしまうことがある。
「会社はプライベート空間ではないのだから、
役割を演じることは当然。
嫌味な人になろうが必要悪だ」
という人もいる。
勿論、現実はそういう一面があるのですが、
素の自分ではなく、偽りの自分で
1日8時間、週40時間、演じ切っているのだから、
知らない間に入らぬストレスはあるでしょう。
もし公の場である職場でも、
自分が自分らしくいられる場所であったとすれば…。
それはその人にとって居心地がよく、
最高の場所になるでしょう。
2023-03-04『~中小企業が知っておきたい~DX化の留意点』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV 2月号のゲストは、
有限会社ゑびやの小田島社長。
2012年に奥様の実家が営む
創業150年の老舗飲食店のゑびやに入社。
長い年月をかけて、勘と経験を軸にした経営から
データ経営へ移行。
またDX化の推進。
「売上を上げるデータ収集」
「経営を楽にするIT化」
様々なツールを導入してきました。
来客予測の的中率95%、
廃棄ロス72.8%削減、
料理提供時間を約1/5(10分以内)、
アイドルタイム1/4等、店舗運営の効率化に成功。
データを用いて様々な検証をした結果、
客単価も10年間で850円から2650円まで
引上げることができました。
小田島社長は、このようなことを言われていました。
中小企業がDX化に向けて留意するべきこと。
・経営者は「経営作業」をして
仕事をした気になってはいけない。
・DX化をして終わりではない。
効率化によって、新たに時間が生み出される。
経営者はよりクリエイティブな仕事に
その時間を投資しなければいけない。
確かに思い当たる節があります。
中小企業の経営者は、人がいないと言って、
自分で「経営作業」を引き受ける。
そこからなかなか抜け出せなくなる。
抜け出すためにIT化・DX化を推進する方もいる。
ただ経営作業から抜け出させた時間を
第二領域の仕事(クリエイティブな仕事)に
割くことができない。
何のためのDX化なのか?
DX化によって、
経営者の仕事をどのように変化させていくのか。
手段の目的化にならないようにしたいものです。
2023-02-25『経営者の休む“勇気”』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
従業員のワークライフバランスに向けて
環境整備することが企業の責任にもなってきました。
一方で経営者の「ワークライフバランス」は対象外です。
以前、小規模事業者の経営者の労働時間の
実態の調査結果を見たことがあります。
1日10時間程度の実務、週1回の休日が平均値でした。
最終責任者であるし、仕事が好きでやっている人もいるので、
労働時間が多い、休日が少ないという議論をしても
仕方がありません。
休むことに「罪悪感を抱く」経営者が一定数います。
「従業員が自分が休んでいる時間も働いてくれている」
「自分が働かなければ会社が減収減益する」
「3日間休みをもらっても何をしていいか分からない」
様々な理由で休日が減っています。
経営者こそ「休むことも仕事」と考えた方が
いいように思います。
身体的な疲労だけでなく、
精神的な疲労はいつの間にか蓄積しています。
気持ちを緩める期間があった方がいいでしょう。
そして何より日常に埋没してしまうと、
「新しいエッセンス」を吸収できない。
業界や取り巻く先々の環境を考えて、
新しい商材、新しいサービス、
新しいビジネスモデルの準備をしなければならない。
正確にいえば「休む」ことではないですが、
意図的に日常と自分を引き話す。
会社に行かずに、
トレンドを掴む感覚を研ぎ澄ましたり、
非日常を見聞きすることが必要だと思います。
会社に来ないと、従業員からは仕事をしているようには
見られないかもしれません。
理解を得ることは必要ですが、
365日「労働」することではなく、
「経営」することが一番の役割ですから。
経営者は意図的に休息を取りましょう。
休む“勇気”が必要です。
2023-02-18『口コミ情報を鵜呑みにする消費者』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
私たちがアマゾンや楽天でモノを購入したり、
食事会の食事会場を予約する時に、
参考にするのが「口コミ」です。
なかには友人のコメントよりも
一般的な「口コミ」を信じる人もいる。
「口コミ信者」とも言えます。
ではその口コミはどのくらい信憑性が
高いのでしょうか?
私の経験上でも、
「口コミを書いてくれた方には10%off」
という特典がついたことがあります。
割引してもらって、
なかなか批判は書けないですよね。
また十方よし.TVに出演していただいた
飯田屋の飯田社長がこんなことを言われていました。
「アマゾンの売れ筋ランギング1位から100位までの
ビールグラスを買い集めて、
どれが一番おいしくビールを
飲めるかを基準に社内でブランドテストをした。
結果、1位のグラスがダントツの最下位になった。
誰一人としてアマゾン売れ筋ランキング1位の
グラスをおいしいとは評価しなかった」
売れ筋ランキングは、ビジュアルや購入しやすい価格、
広告による印象などの影響も大きい。
カスタマーレビューは
その一品を気に入ったかどうかという
絶対的な評価。
飯田屋さんのように何十種類のグラスを飲み比べて
相対的な評価をしている人はいないでしょう。
カスタマービューの評価を
鵜呑みにしてはいけないですね。
我々は自分に合った「良い品」を
購入しているのではなく、
「良いと印象づけられた品」を
購入しています。
口クミ情報はあくまでも参考程度で。
2023-02-09『“ラーゲリより愛を込めて”からのメッセージ』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
映画『ラーゲリより愛を込めて』は
ご覧になりましたか?
第二次世界大戦後、
零下40度を超える厳冬のシベリア強制収容所(ラーゲリ)で
日本にいる家族や両親を思い、仲間と懸命に生きた男、
山本幡男の壮絶な半生を描いた物語です。
戦後11年もの間、日本に帰国することができず、
わずかな食料で過酷な労働を強いられてきました。
いわゆる「戦争映画」ではありません。
現在のコロナ禍であったり、
閉塞感が漂う今日の日本において
状況を重ねてみることができる作品でした。
「人間は希望がなくては生きていけない。
たとえ希望がなくても、生きていかないといけない。
ちっちゃな希望を見出してでも…」
このようなメッセージを
私は作品から受け取りました。
強制収容所での過酷な生活。
帰ることができる日がいつ来るかも分からない。
仲間が次々に亡くなっていく。
そのような状況でも「希望」を見出せるでしょうか?
日本に残した両親や家族が
亡くなってしまってことを知る。
日本に戻る理由、生きる理由がない中でも
「希望」を見出せるでしょうか?
ナポレオン・ボナパルトは、
「リーダーとは“希望を配る人”のことだ」
という言葉を残しました。
我々リーダーは、どのような環境下であっても、
「小さな希望」を配らなければならない。
そしてリーダーでなかったとしても、
「希望を見出す力」が個々には必要です。
昨今、日本社会や日本経済は閉塞感に
包まれていると言われています。
だからこそ
希望を届けられる企業にチャンスがある。
希望を見出せる人材がさらに輝ける。
山本幡男のように
どのような状況でも「希望」を
見出せる人でありたいと思います。
2023-02-02『正直不動産と飯田屋の共通点』
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『正直不動産と飯田屋の共通点』
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こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
NHKドラマ『正直不動産』をご存知ですか?
不動産業界に身を置く主人公の永瀬。
契約のためなら嘘を厭わずに営業成績をあげてきたが、
ある日、祠を破壊してしまったことで、
嘘がつけない体質になる。
嘘をつかない正直営業でライバル会社との競争に
立ち向かっていくという話です。
「嘘をつく」とありますが、別な言い方をすれば
メリットばかりを強調して、
デメリットの説明をしないということ。
主人公の長瀬も過去にはデメリットを説明せず、
嘘ではないスレスレのトークを展開し、
多くの契約を獲得。
しかしその分クレームも多く、
顧客が怒鳴り込んでくることも。
このドラマを見ながら、
前回もご紹介した合羽橋で超”料理道具専門店を
経営されている飯田社長の話を思い出しました。
何百種類の調理道具を試している経験から、
飯田社長のプレゼン力は絶大です。
松本:
「通販番組からのオファーも多いですよね?
お仕事を引き受けないんですか?」
飯田社長:
「たくさんお話をいただきますが
全てお断りしています。
今の通販番組のスタイルでしたら、
お引き受けすることはありません」
松本:
「どうしてお引き受けしないんですか?」
飯田社長:
「通販番組は限られた時間の中で
紹介しなければならない。
メリットしか伝えてはいけないんですね。
“ここが弱点です”とか
“こんなお客様には不向きです”
とは言えません。
結果、お客様にピッタリではないものを
売ることになってしまうんです。
“弱点を包み隠さず話してよい”
“正直に全て話してもよい”
こういう条件ならば
引き受けることがあるかもしれませんが…。
今の所、そんな通販番組は存在しません」
正直不動産の主人公の長瀬と
飯田社長に共通していること。
それは「正直である」こと。
正直とはメリットだけではなく、
デメリットも全て包み隠さず、
顧客へお伝えすることです。
デメリットを正直に伝えれば、
顧客は迷って購入を見送るかもしれない。
売上は伸び悩むかもしれない。
「売る」ことが目的なのか、
購入後の「顧客の幸せ」が目的なのか。
目的の違いが
正直さの違いを生み出します。
2023-01-28『“自由にやって!”では自由に動けない』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
前回に引き続き、
合羽橋で超”料理道具専門店を経営されている
飯田社長のお話です。
飯田屋の定義を「厨房用品の小売・卸売業」を改め
「喜ばせ業」としました。
そのために3つのことを禁止しました。
・売上ノルマ(売上目標)なし
・売りつけ行為禁止
・飛び込み営業禁止
なかなか勇気がいる決断ですね。
「お客様を喜ばせることならば、
何をやってもいい。
自由にやってもいいよ」
こんなメッセージを飯田社長は
日頃から発信しましたが、スタッフの行動は、
なかなか変わらなかったそうです。
「自由にやってもいい」
これではかえって自由にやれないではないか?
と考え直します。
そこで決裁権限を以下のように決めたそうです。
・部長・課長は2000万円/年
・正社員は500万円/年
・パートは300万円/年
上限金額内で用途は多様ですが、
お客様から「こんな商品が欲しい」という声をヒントに
独自の判断で試しに仕入れている方が多いそうです。
また「160時間ルール」というルールがあります。
一人のお客様を喜ばせるために
最大月160時間まで使っていいというもの。
スタッフの中には、
たった一人のお客様の「これが欲しかった!」のために、
時間を使って徹底的に調べる方もいるそうです。
スタッフの主体性を引き出すために、
「自由にやってもいいよ」
と言ってしまいがちですね。
ここでいう「自由」は、かえって
相手を戸惑わせてしまうだけかもしれません。
基準を決めてあげる。
基準があった方が、
かえって自由に動けるのかもしれません。
2023-01-23『250種類のおろし金を使ったことはありますか?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV 1月号のゲストは、
株式会社飯田の飯田社長。
合羽橋で超”料理道具専門店を経営されています。
様々なメディアで取り上げられていますので、
ご存知の方もいるかと思います。
アマゾンが台頭する中で、
リアル店舗の価値とは何でしょうか?
そのヒントを教えてくれる内容でした。
(→詳しくは十方よし.TVにてご連絡ください)
「商品価値=商品力×伝達力」
と言われます。
・商品力◎ × 伝達力△
→世の中で埋もれている商品。
本来の価値が伝わらず、勿体ない。
・商品力△ × 伝達力◎
→一時的には売れる。
誇大PR等があれば、
顧客からすれば期待外れで
クレームに繋がる場合もある。
飯田屋さんでは、
・オタマ 1,000種類以上
・おろし金 250種類
・まな板 150種類
・フライパン 200種類
上記のような豊富にラインナップされています。
何よりも驚いたのが
スタッフさんがそれだけある種類の商品を
実際に使っており、
特徴や違いが分かるそうです。
同じ大根を使うにしても、
どの「おろし金」を使うかによって、
触感も味も変わるというのです。
250種類ものおろし金を
試した人はいないですよね…。
来店されたお客様の声をよく聴き、
そのお客様にピッタリの商品をご案内すること。
「もし売れ筋の3種類しか取り扱っていなければ、
スタッフも妥協をして、その3種類の中から
商品をご案内してしまいますよね?」
飯田屋さんでは「妥協」とは
言い換えれば、「小さな嘘」なのかもしれません。
「これでいいか」と「これがいい」の違い。
お客様が求めるニーズと商品を
ピッタリと合わせる。
スタッフさんの役割はマッチングなのでしょう。
自店で取り扱う数多くの商品を
自ら使ってみる。
商品開発担当、営業担当から渡された
PRチラシをただ伝えるだけ。
自社商品も他社商品も
実際に使ったことがない。
そういう販売員の方も
残念ながらいますね。
実はそのような小さな違いが
「伝達力」の差を生み出しているかもしれません。