経営理念浸透ブログ

2023-09-24
『循環型農法から学ぶ人材育成』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

社員研修の一環で北海道に行ってきました。
北海道でも東京と変わらない蒸し暑さ。
エアコンが飛ぶように売れているそうです。

さて2016年以来、佐々木ファームさん(洞爺湖)にお邪魔してきました。
化学的な肥料・農薬に頼らない循環型農法。

菌や微生物、虫や動物、人・自然が
共生する未来志向の農法。

農業への哲学は驚く点ばかりです。

化学的な肥料や農薬を使わない。
そうすると不格好な野菜ができ上がります。

形も大きさもバラバラ。
スーパーに並べられた野菜とは別物。

見かけだけをみれば、
“一般ウケ”しないかもしれません。

しかし本来の姿として
どちらが“自然”なんだろう…と思います。

 

例えは良くないですが、
企業で行われている人材育成策は、
スーパーで並べられている均一な野菜づくりと
一緒に様に思えてならないことがあります。

人は本来バラバラであってしかるべきですが、
教育をして「標準の型」にはめていく。

 

見かけは綺麗なのですが、
本来の力を開発できているのだろうか…。

佐々木ファームさんの野菜は、
本来持っているはず「生命力」を
最大限引き出しているように思います。

生で食べられるトウモロコシ。
都内で売られているトマトジュースを
全く飲めない私が、一気に飲み干してしまう。

本来の生命力を引き出し、
野菜本来の味は、こうだったのかと気づかされます。

 

「違い」を直そうとせず、
本来持っている「生命力」を引き出す。

人材育成においても、
そのようなスタンスを見失わないようにしたいと思います。

 

2023-09-16
『内と外の融合』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV10月号のゲストは、
株式会社岩岳リゾートの和田社長。

グリーンシーズンの来場者数が
ウインターシーズンを超えるスキー場になりました。

ウインターシーズンでは、
複数のスキー場を横断できる共通リフト券、
会員制度(Sクラス特典)、
スキーをしないプレイヤー向けの雪遊び。

 

グリーンシーズンでは、
マウンテンバイクのコースを作ったり大会の企画、
山頂でのコンサートを企画、1回500円のブランコ、
マウンテンカート等々。

 

日本でトップクラスの「オールシーズンリゾート」を
目指しています。

スキー場の常識を疑う施策で
成功を収めてきたわけですが、
その裏側には数々の失敗もしています。

冬のスキー場でビアガーデンを企画したが、
ビールサーバー凍ってビールが出なくなった…、
といった笑い話をされていました。
(当時のお客様にはご迷惑をかけてしまったが)

和田社長はもともと白馬の住民ではなく、
スキーヤーとして白馬に通っていました。

白馬にしかない「絶景」を貴重な武器だと思っていたが、
昔から地元に住んでいるスタッフには日常の風景なので、
その価値が認識されていなかったといいます。

 

新しい価値を生み出すには、
「よく遊ぶこと」「内と外の目線を融合すること」と
和田社長が言っていたことが印象的です。

 

内=社内目線、地元・地域目線
外=社外目線、脱地元・脱地域目線

どちらかだけでは上手くいかないといいます。

 

内目線だけでは、隠れた資産に気づかない。
外目線だけでは、奇抜だが運用が上手くいかなかったり定着しない。

内と外。
両方の目線が必要なんですね。

 

新しい製品やサービスを考える時に、
内目線と外目線の融合をすることは効果的です。

また、組織づくりや組織風土形成においても同様です。

ビックモーターの話題が最近は多いですが、
内目線だけ経営されてきており、外から見た時の
「異常」に気づかなくなっていましたね。

社外秘とは言え、
「経営計画書にその内容・文言は、外部者が見たらまずいでしょ…」
というものが多数ありましたね。

おかしいとは思わず、風景化されていました。
むしろ会社の「個性」くらいに捉えられていたのかもしれません。

内目線と外目線の融合。

二つ目の目線で自社をチェックしてみてください。

 

2023-09-11
『78年前の青年たちが日本を見たら… 』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

昨日8月15日は終戦記念日。

「永遠の0」
「硫黄島からの手紙」

などの映画からも当時の状況が伝わってくるでしょう。

私が最も影響を受けたのが
知覧の特攻平和会館での遺書の数々。

17歳から25歳くらいまでの青年たちが
出撃直前に家族宛に書かれた遺書。

 

現代でいえば「明日までの命」と
余命宣告をされるようなもの。

その時にどのようなことを考えて、
大切な人に何を伝えたかったか。

自分だったら…と考えさせられます。

 

彼らの願いは、
「平和で希望的な日本」を作ること。

そのために自己犠牲を払ったともいえる。

明日、命を落とすことになる青年たちが
「素晴らしい日本」になる夢を後世に託しました。

 

どれだけ意識するかは別にして、
今の時代に生きるということは、
バトンを受け継いでいることになります。

終戦記念日とは、
「これからは平和で希望的な日本を作る」
ということを誓う機会でもある。

 

一人一人ができることは小さい。

しかし78年前の人に見られても恥ずかしくない、
“いい日本社会”を作るための努力はしたいものです。

 

2023-09-05
『優秀な経営者とは?PART1 』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

一口に経営者といっても、
「オーナー兼経営者」の方もいれば、「経営者」の人も言える。

特に後者の場合、
任された期間で一定の成果を上げることが命題です。

結果が出なければ解任。

自分にバトンを託された期間で
いかに業績を上げるかに注力します。

ただし一方で一部の経営者は、
「問題の先送り」をしてしまう方もいます。

例えば大きな設備投資をしなければならない。
それを先送りにする。

近年、「脱炭素」「省エネ」「環境保全」等言われますが、
これらに対応した機器や設備を一新しなければならなかったり。

いつかは着手しなければならないテーマ。
それを当人も分かっていたはずです。

 

自分の代でそこに着手すると、
綺麗な決算書を残せない。

あれこれ正当な理由をつけて
後任の経営者がやればいいと、
後回しにしてしまうのです。

 

経営者は結果で評価されますので、
「優秀な経営者だった」という称号を得るでしょう。

内情をよく知っている人しか、
この辺りは分かりませんね。
評価は二分します。

自分の代で良い成績を残すことを第一に考えるのか。
次の代まで考えて問題の先送りをしないのか。

どちらが優秀な経営者なのかと
考えさせられますね。

 

2023-08-24
『熱海の街づくり。活況を再び』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

以前、十方よし.TVにご出演いただいた、
株式会社machimoriの市来社長。

本日8/3(木)にカンブリア宮殿で
熱海のまちづくりの取組を取り上げていただくそうです。

「住民の意識を変えて復活 新時代の地方再生術!」
https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/

ぜひご覧になってください。

以前もこのメルマガにてご紹介しました。

熱海の旅館・ホテル宿泊者数は、
1960年代半ばには年間530万人いましたが、
2011年になると246万人と半分以下に落ち込みました。

活気がなかった熱海。
しかし2017年以降、地方創生の先駆けとしても
知られるようなりました。

株式会社machimoriさんは熱海の街全体を
リノベーションすることにチャレンジ中。

中心街でのマルシェを企画したり、コアーキングスペースやカフェ、
ゲストハウスなどの事業をされています。

最新の活動は上記の「カンブリア宮殿」でご紹介されるでしょう。

当時のお話で印象的だったことがあります。

それは、自社で独占せず、街体験をすること。

ゲストハウスを運営していると、
朝食を希望する宿泊客がいます。

本来ならば自社で朝食を全て用意をすることが
顧客の希望に沿うことになります。

しかしここではご飯とお味噌汁のみ提供。

ゲストハウスの向かいにある老舗干物屋さん3軒で
お好きな干物を自分で購入しなければなりません。

ゲストハウス内のグリルで干物を焼いて、
新鮮なまま食べられるモーニングサービスを提供しています。

 

一般的な考えならば、干物を自社で仕入れして、
朝食につけることを考えませんか?

しかしここではわざわざ、
おかずである干物を干物屋さんに購入しに行きます。

これに市来さんの事業への考え方が
表れているなと思いました。

きっと干物屋へ購入しに行くことで、
干物屋さんとの交流機会を作り、
プロから干物の魅力を直に感じてもらい、
美味しさを堪能してもらう。

 

熱海の街そのものを好きになってもらう一工夫なのでしょう。
干物屋さんも潤い、ゲストハウスと共存共栄関係ができます。

顧客の希望に自社のみで答えるのではなく、
街全体として答えること。

街づくりにはそういった視点が必要なのかもしれません。

 

2023-08-20
『11年経っても70人の街』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

福島県双葉町に行ってきました。

双葉町は、2011年の東日本大震災に伴い発生した
東京電力福島第一原子力発電所事故で
全町避難を強いられました。

11年経ってようやく2022年8月に一部地域で避難指示が解除され、
住民の帰還が始まりました。

しかし一度離れた住民はなかなか戻らず。
7000人いた町民は現在は70名だと聞きます。

アンケートでは、避難先で自宅を購入・建築しており、
将来も継続的に居住する予定のため、
町に戻りたいと答えている人は11%だといいます。

 

さて2011年の震災時に、
福島第一原発ではどのようなことが起きていたのでしょうか。

映画『Fukushima 50』
ドラマ『THE DAYS』

門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』が
どちらも原作になっています。

これらは当時の状況を詳細に記しています。

東電と官邸との責任の押し付け合い、
東電本部と吉田所長含めた事故現場での意思疎通が
上手く行かないもどかしさ。

放射能の見えない恐怖も伝わってきます。

暴走した原発を止めなければいけないが、
制御装置のコントロールがきかない。

危険と隣り合わせの中で、有事のリーダーシップが見られます。

若い社員を守ろうと、ベテラン社員が
原子炉建屋内に突入する決死隊を志願する。

水素爆発後、万が一を想定し、
最低限の人間だけを残して、
他の多数社員や協力会社を安全な所へ避難させる。

 

過去に例がない大事故。
最後の最後まで考えつく限りの方法で冷却作業をし
”最悪の結果”を引き起こさないように最善を尽くします。

”最悪の結果”とは、首相の発言にもあったように、
「日本が北海道と西日本に分断されてしまう」。

つまりそれは福島を中心とし、
関東から東北まで人が住めなくなってしまうことを意味します。

賛否両論あると思いますが、
”最悪の結果”を招かなかったのは、
命を懸けて立ち向かったリーダーがいたから。

それは間違いありません。

 

2023-08-13
『失敗すらさせてもらえない新卒社員』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

A社では新卒社員が毎年10名前後入社しています。

新卒採用が途切れたことは直近10年間ではなく、
受け入れ側も「慣れている」ように見えます。

指導係役は、最近の若者の傾向ということを学習し、
時代に即したOJTを実施しているようです。

 

一人でも新卒社員が退職すると社内で大騒ぎになり、
「過敏反応かな?」と思うことも。

A社の新卒社員の話を聞くと
凹むほど「失敗の経験はなかった」と言います。

その新卒社員が優秀なのかと最初は思いましたが、
他新卒社員も同様のコメント。

「失敗レベルの経験はない。軽いミス程度です」
と言うのです。

新卒社員は凹みやすい
→転ばないように事前に丁寧に教える
 →言われた通り忠実にやれば失敗はない
  →「失敗の経験」がない

こういった因果関係があるように思います。

 

例えは適切かどうか分かりませんが、
わが子に過保護になっている親のようです。
先回りして子供がケガをしないように環境を整えてしまう。
ケガをすることさえ、させてもらえない子供。

「新卒の受け入れができている会社
 =新卒に過保護な会社」

こんな間違った方向にいっていませんか?

「失敗をしていない」という新卒社員が
自信や実力を身につけているか?と言えば
疑問が残ります。

 

失敗をさせてもらえないこと。
それも可哀そうなだなと思います。

失敗から学ぶことの方がはるかに多いですからね。

新卒社員に失敗の機会を与えてあげましょう。

 

2023-08-10
『業界の常識=他業界の非常識 PART2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

前回に引き続き、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内院長から学んだことです。

「私が大病院で勤務していた頃は、
 仕事はやって当たり前。
 褒められたことはありません。
 
 だから自分が開業した当時、
 スタッフを褒めることができませんでした。

 “やって当たり前”の環境で育ってきたので
 それが当然だと思っていました」

 

このように大河内院長は当時を振り返っていました。

医療や福祉分野の方は「共感疲労」になりやすいといいます。

共感疲労とは、大変な状況にある相手へ共感してしまうため、
自分が実際に体験しているわけではないのに
精神的に疲れてしまうこと。

感受性が強かったり、気遣いができる人、
使命感が強い人ほど共感疲労に陥りやすいといいます。

心が疲労していようが相手に尽くす仕事。
そして緊張感を持ち続けなければならない。

 

医療人は仕事であるから、
「褒められる」とか「感謝される」ことを
期待してもいけないという風潮さえ
あるのかもしれません。

大河内内科クリック様は、
「感謝しあうこと」「認め合うこと」といった
他業界ではごく当たり前に思えることを
真摯に取り入れていきました。

そういった取り組みの結果、離職率が下がり
看護士や医療事務スタッフが定着。
医療サービスの安定化と向上に繋がっていきました。

このくらいは「業界の常識」と思い込まれていること。
そこに魅力的な会社になれるヒントがありそうです。

 

2023-08-02
『業界の常識=他業界の非常識』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV7月号のゲストは、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内内科クリニックの大河内院長です。

2020年に「第10回日本で一番大切にしたい会社大賞」で実行委員会特別賞、
2021年 第7回ホワイト企業大賞で「医療経営革新賞」を受賞されています。

また大河内院長は
2023年「TED TALK」にも
歴史上日本人医師として初めて登壇されています。

いまや全国から同業者の方が見学に来られるクリニックになりました。

開業当時のクリニック内は、責任の押し付け合いが起きたり、ミスが連発。
次から次に人が辞めていき、危険な状態だったと言います。

そこから、「医療業界の常識」と思われており、
「他業界から見れば非常識」な点を改革していきます。

・ご家族の方へ手術(室)のオープン化
・複数のインフルエンザ治療薬の説明(効能と費用)と患者の選択権
・血液検査と健康診断結果を当日に渡すこと
・待ち時間を減らすためのブザーシステム
・マニュアルに縛られない治療方針(=様々な事情を持つ個に合わせた治療)
・糖尿病のダラダラ治療(=インスリン投与を止められない)からの脱却

上記が一例です。

どうしても医療現場は、
「病院>患者」という力関係で成り立ち、
現場が閉塞化されていたり、
患者目線の欠如が見受けられることがあります。

医療業界もサービス業化してきていますが
まだまだ「病院・医師>患者」という構図は崩れていません。

例えば診療予約システムで予約を入れていても、
1時間以上待つこともありますね。

他業界ならば予約時間から1時間以上待つならば、
クレームを入れるお客様もいるのではないでしょうか?

1時間以上待つならば、予約の意味がありませんね。

しかし我々は「病院はそういう所だから仕方がない」と
受け入れてしまっている。

病院側も「予定通りはいかない。仕方ない」と考え、
改善まで至らない。

「病院>患者」というパワーバランスの中で、
治療面、サービス面において、
なかなか進化していかない。

大河内内科クリニックさんは、
そういった他業界から見たら「おかしい」という所を
1つずつ変えてきました。

業界の常識=他業界の非常識。

我々の業界の常識をまずは疑ってみることから
始めてみましょう。

 

2023-07-22
『私のことは、私の言葉で、相談する力』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

皆さんは、困ったことは自分の言葉で、
相談するべき相手に相談ができていますか?

私は福祉事業(軽度の障害者グループホーム事業)もしています。
入居者側と運営側で信頼関係は大切です。
しかし、ちょっとしたことで不穏な関係になることがあります。

例えば入居者から、職員や責任者に直接相談がない中で、
突然、本部や代表者にご家族から直接連絡がいく。

「うちの子が○○の件で困っているようなんです。
対処してほしい」

簡単にいうと上記のような内容です。

現場の担当スタッフが聞けていれば、
早めに手を打てるのですが初めて聞く内容。

事実把握から始めていき、
必要な対処法を探していきます。

こちらのご両親は、

「うちの子は自分が困っていることを相手に伝えられない。
だから私が代わりに伝えてあげないといけないんです」

と言われていました。

「お母様は自分が彼・彼女の一番の理解者であり代弁者」
という認識なんですね。

もちろん職員が直接話を聴けるだけの関係性、
雰囲気づくり、機会づくりの努力は必要です。

一方でどのような社会であっても、
欲しい解決策がもらえるかどうかは別にして
「自分から相談できる力」
は自分を守る上で必要な力ではないでしょうか。

人を介することによって、情報が歪曲する。
今回のケースで言えばご両親を介する。

お母様は理解者ではない職員に不満を持つ。
不満を持てば、
様々な出来事をネガティブに捉える傾向になります。

これは福祉だけではなく、
子供のあらゆる習い事をお仕事にしている方は
体験済だと言われていました。

「うちの子が○○で困っている。自分では言えない子。
 だから親である私が代わりに伝えないといけない」

声に出して相談する力が子供にもある中で、
ご両親が代わりに介入してしまうことは、
両者間の信頼関係に亀裂が入ってしまうことがあります。

自分で解決できることが理想的。
それが難しいければ、
まずは自分で相談できる力を養えたらいいですね。

入居者さんへ最初の段階で毎回伝えていることは、

「○○さんが困っていることは
○○さんが自分の言葉で職員さんに相談してみてください。
それでも解決できない時は、私に直接相談してみてください」と。

これからあらゆる場で社会生活は続きます。
「相談できる力」はどこに行っても必要な気がしてなりません。