経営理念浸透ブログ

2024-03-17
『“合理的にあり得ない!”が社長の役割』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

中小企業では、
会社の命運を握るのは何といっても社長。

とはいえ、社長一人に依存する会社は危険です。

そこで経営幹部を複数人、
育てることを目標にします。

経営者がいなくても会社が回る組織。
中小企業の経営者が描く目標です。

やがて経営幹部が育ってくると、
社長が発言をしなくても、
それなりに適切な意思決定がされていきます。

その場の出席者のコンセンサスを取り、
納得性の高い結論が導き出されていく。

目標にしていた「社長がいなくても回る会社」になった時、
経営者の存在価値は何でしょうか?

経営者は会社にとって必要なのでしょうか?

経営者の役割の一つ。
それは「合理的ではない意思決定ができる」ことだと思います。

「合理的」とは、辞書で意味を調べられると、

・道理や論理的に適っていること
・無駄なく効率的であること

優秀な人材が育ち、頼りになる経営幹部ができると
「合理的な判断」ができるようになります。

・AよりBを選択する方がコストが安い
・AよりBを選択する方が儲かる
・AよりBを選択する方が効率的
・AよりBを選択する方がリスクがない
・この悪状況ならばスタッフを解雇するのは当然

優秀な人材は「合理的判断」ができますが、
「合理的判断」には危険な一面もある。

普通に考えたらB、常識で考えたらB。
といった具合に、多数派の判断をしてしまう。

しかし、
普通ならあり得ないA,
常識ではないありえないA。

この意思決定してきたから、
唯一無二の中小企業になっている例もあります。

合理的判断とは、
“正しい”結論を出しているように見えて
“常識内の普通”の結論を出していることにもなる。

大半の人から反対されようが、
“ぶっ飛んだ”意見や結論を出せること。

時には、経営者が合理的ではない判断ができることが
経営者の重要な役割ではないでしょうか。

 

2024-03-11
『参入障壁は“何となく”の思い込み』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

以前、十方よし.TVに
穴太ホールディングスの戸波社長に
ご出演いただきました。

葬儀会社から始まり、生花業、仕出業等、関連事業を内製化。

さらには北海道に農地を買って、
お米作りまで始めたということを
このメルマガでもご紹介しました。

「農業へ参入する」

それを聞いただけで、
私は「参入障壁が高そうだな。難しそうだな」
と咄嗟に考えました。

失礼な言い方ですが、農業の素人から始めて、
数年で「ゆめぴりか」が
『第9回米-1グランプリ in らんこし』準グランプリを受賞。

なぜ素人の方が作ったお米を
短時間でブランド米にまで育て上げられたのか?
これについても疑問でした。

もっとお米作りのプロは、
他にたくさんいるはずなので
なぜ準グランプリまで取れたのか…。

戸波社長に上記のことをお聞きすると、
以下のような回答が返ってきました。

「農業経験が10年もあるということを聞くと、
 かなりのベテランと咄嗟に
 思ってしまうかもしれない。
 
 でもお米は1年に1回しか作れないわけです。
 つまり10回しか作っていない。
 
 10回程度でプロですか?
 100回も200回も作っていれば、この差は縮まらず
 さすがに敵わないかな…と思いますが。
 
 別の業界で捉え直してみると、
 10回しかやっていないならば、
 大した差はなく、追いつけそうかなと思いませんか?」

「もう一つは、行政にお米作りのプロの方がいて、
 懇切丁寧に教えてくれるんですね。

 このタイミングで何をやらないといけないのか、
 またはやってはいけないのか。
 時には数値を使って、科学的に教えてくれる。
 私は素人ですから、先生に徹底的に教えを請いました。

 不思議なのは、ベテランの方ほど
 先生にお米作りを教えてもらいに来ないそうです。
 勿体ないですよね…。
 
 自分のやり方が一番だと
 思っているかかもしれないですし、
 どこかの先生が教えるお米の作り方は机上の空論。
 現場で肌感覚でやっていくのが大事だと
 思っているのかもしれません。

 私は素人ですから先生から教えてもらったやり方を
 忠実に再現したんです」

何か新しい事業やサービスを考えても、
なかなか一歩が踏み出せないことがある。

「難しい」「できない」といった
メンタルブロックがかかります。

一番の参入障壁は、
「何となくの思い込み」なのかもしれません。

そしてお米作りも「守・破・離」のステップを
重んじたほうがよいのかもしれません。

 

2024-03-04
『“まさか”に備えたさくらんぼ農園』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TVの2月号のゲストは、
株式会社やまがたさくらんぼファームの矢萩社長。

書籍『さくらんぼ社長の経営革命』も
合わせてご覧ください。

やまがたさくらんぼファームさんは、
コロナの影響で最大の収益だった観光農園が入園者ゼロに。

その中で、果樹のネット販売、加工商品の開発、
自販機販売、直営カフェに着手。

収益性ある事業を育てあげて12期連続黒字を達成。

6次産業化の分野でも優良企業として
表彰もされています。

今となっては、
コロナが事業に与える影響は少なくなりましたが、
当時は様々な分野で大打撃でした。

さくらんぼの果樹園も同様。
外出が自粛される中、国内外から来園者が激減。

さくらんぼは生育を待ってくれません。

1年かけて苦労して育てたさくらんぼ全てが
大量廃棄になってしまいます。

「ワケアリ倶楽部」という通販や、
6次産業化により様々な商品を開発。

商品化によってさくらんぼを無駄にせず、
賞味期限を延ばして、
活用することもしました。

コロナが襲ってきた当初は、
2つの考え方がありました。

1.何かよく分からないインフルエンザのようなもの。
  じきに収束するだろう

2.未知のウェルス。出口が見えないくらい、
  長引く可能性があるだろう

矢萩社長は、
2011年の東北の震災も大ピンチだったといいます。

当時、予約されていた「さくらんぼ狩り」のツアーは
ことごとくキャンセル。

さくらんぼは、大量廃棄するしかない。
あえて摘まず、鳥たちに食べてもらうことも。

「愕然としました。
 非常に悔しい思い出でした」と言われていました。

まさかここまで影響を受けるとは
想像していなかったそうです。

震災後の事業転換の遅さが、
経営にダメージを与えたという教訓がありました。

その教訓が活きて、
今回のコロナが始まった時に、
いち早く事業転換することに成功。

さくらんぼ狩りの来園を中止して、
あらゆる経営資源を通販や六次産業化、
カフェ事業に切り替えたそうです。

会社を持続させるには、
「まさか」に備えることだとある方は言われてました。

過去の経験から、
様々な「まさか」を想定することもできます。

経験は想像力の幅を広げます。

皆さんは「まさか」に備えていますか?

 

2024-02-25
『人事部VS営業部・製造部』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

私の仕事上、経営企画や人事部の方と
会社の組織づくりについて
計画を作ることがあります。

会社によってですが、
営業部や製造部が
社内で最も影響力を持っていることがあります。

経営企画や人事の方は、
人事施策(研修含む)を実行したいが、
この影響力ある部署に、
首を縦に振ってもらわないと
何も実行できないことあります。

社内調整することに最もエネルギーを
注がなければいけないわけです。

例えば研修計画などを作っても、

「俺たちは忙しい。
 研修なんかしてられない」

「お前ら本社スタッフを食わせているのは
 俺たち営業部だ。
 営業部の立場に立って考えてくれ」

「研修は現場落ち着いてからにしてくれ。
 今は人不足でそんな余裕ない」

「研修効果を感じられない。
 OJTでやっていくから必要ない。
 実務に直結しない研修はいらない」

ごもっともらしい様々な理由が語られ、
障害になってしまいます。

しかしこの方が話されていることを
客観的に見ると突っ込みどころが満載です。

・俺たちは忙しい?
 忙しくない時はいつ訪れるのか?
 暇な時はいつ来ますか?

・現場が落ちついてから…。
 それは1年前も同じことを言ってましたよね?
 1年経っても落ち着かないのは、
 マネジメントに問題があるのでは?

・OJTでやっていくという人ほど、
 放置プレイで何もしていないことが多い。
 人が育たない職場になっていませんか?

・実務に直結する研修だけならば、
 実務屋さんを育成したいのですか?
 理想の人材像は実務屋ですか?
 ITが進んでいけば実務屋はどうなりますか?

 

なぜこのような考え方の違いが生まれるか。

それはタイムマネジメントでよく出てくる
緊急と重要の4象限です。

「緊急事項」と「緊急かつ重要事項」で
大半の時間が取られてしまえば、
疲弊をし負のループに入っています。
長期的成功はありえません。

人事施策(※その一つが研修計画・実行)は、
重要事項であるが緊急性がない。

そうすると後回しにされてします。
時間が余ったら着手をしようとするが、
時間が余ることはなく、手つかずになる。

結果、数年後に様々なリスクを
負うことになります。

緊急ではない重要事項ほど、
優先度をあげて、計画・実行をする。

この認識の統一が
部署を超えて必要になってきます。

 

2024-02-19
『アンダーラインを決める』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

会社経営、組織運営をしていると
様々な場面で意思決定を求められます。

ただし状況を飲み込まれ、
判断基準がブレてしまうことがあります。

ですから皆さんにお勧めしたいのが
アンダーライン(=妥協ライン)を決めるということです。

私の会社を例にあげると、
アルバイトや社員採用時にアンダーラインを決めます。

人材不足に陥ると、
誰もいいから採用になってしまいがちです。

どれだけ人員が苦しくても、
アンダーラインを下回ったスタッフの
採用は見送ります。

 

自分を偽って採用した方が、
社内で問題を色々起こしてしまい、
かえって疲弊困憊することがありました。

ですのでアンダーライン(=妥協ライン)を死守します。

お客様に対しても同様です。

価格条件が合わなければ、
ご縁がなかったと見送ります。

忙しい割には全く利益が残らない状態に陥ります。

 

また仮に条件がよかったとしても、
約束を数回すっ飛ばしてしまう経営者もいたのですが、
こちらも契約をストップすることに。

だましだまし仕事を続けても
よい関係は築けないでしょう。

店舗を構えているサービス業では、
不良客という方が一定数紛れます。

アンダーライン以下のお客様には
来店をしていただかないようにすることは
良いお客様を守る上でも必要です。

 

部下指導でも同様。

アンダーラインを下回ったら、
真剣に注意をします。
それまでは静観します。

アンダーラインを下回ったら、
行動管理を始めますが、
それまでは任せます。

どこまでの妥協を許し、
どこからの妥協は許さないか。

アンダーライン(=妥協)の基準を持つこと。

基準に基づいて意思決定し、
行動することが必要ですね。

 

2024-02-12
『心が動くストーリー』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

前回に引き続き、
ダイワスーパーの大山社長との対談から
改めて考えさせられたことについて。

前回は、どこにでもありそうな街のスーパーが
フルーツサンドで復活を遂げた話でした。

フルーツサンドがなぜヒットしたのか?
いくつか理由はありますが、
その一つが「ストーリ」に共感してもらえたから。

マーケティングにおいて
「ストーリ」が欠かせない要素に
なってきているようにも感じます。

しかし少し違和感があるのが、
心を動かせるストーリーかどうか

ダイワスーパーさんの場合、

・コンビニのフルーツサンドが
 美味しくなかったこと。
 八百屋からすれば果物が缶詰レベルと感じたこと

・生クリームが苦手だった大山社長が
 自らが美味しいと感じる生クリームを
 様々なパートナーと
 試行錯誤を重ねて作ったこと

・生クリームのファンもいて、
 生クリームだけのサンドも売っていること

・フルーツを細かく切るのが面倒に感じ、
 偶然ざっくりと切ってみたら、断面が美しかったこと。
 それがヒントになりインパクトある商品ができたこと。

・フルーツサンドを目的に長年の夢であった行列が
 スーパーの前に広がったこと。

・祖父と日本一のフルーツサンド屋を
 作る約束をしたこと

思わず心が奪われてしまうストーリーとは…。

それは人間の「涙」「汗」「苦しみ」「歓び」
といった生々しさがあるかどうか。

私はスマートなストーリーよりは、
泥臭く、人間臭さがあるストーリーに
心が奪われます。

そういう商品やサービスほど、
一度は体験してみたいと思います。

カッコいいストーリーよりも
どこまでも悪あがきをして、
カッコ悪いストーリーを。

それが価値になるのではないでしょうか。

 

2024-02-07
『起死回生のフルーツサンド』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV1月号のゲストは、
ダイワスーパー代表の大山社長。

興味がある方は
書籍『与える人になりなさい』
を読んでみてください。

愛知県岡崎市に町のスーパー。

2018年に祖父から創業したののの
就任当時は3000万円の赤字。

地域の大型スーパーの進出により経営が苦しむ中、
かき氷やフルーツサンドを発案。

これがヒットし、
夢であった行列ができるスーパーへ。

“八百屋の本気で作るフルーツサンド”は
その後も大ヒットし、フルーツサンド専門店を
店舗展開されることになりました。

ふんだんにフルーツ(イチゴ、キュウイ、バナナ等)
を使い、フルーツの断面が美しい。

その見栄えも好評でインスタ映えもし、
口コミでどんどん広がっていきました。

ショーケースで並んだ状態を
写真で取るお客様もいらっしゃいます。

特に私は生クリームが好きです。
甘くなく、しつこくない味。

私のような生クリームファンもいて、
生クリームだけのフルーサンドも
メニューにあります。

インパクトがあり、
おしゃれなフルーツサンド。

それだけでなく、
祖父の背中から学んだ、
「お客様を喜ばせる」というイズムが
随所に見られます。

例えばお金がない中で大山社長が
最初にやったのはお客様の名前を覚えること。

1日50人近く覚える努力されて、
お客様との会話ができるようにし、
買物が楽しくなるようにする。

スーパーの列に並ばれているお客様へ、
メロンを切ったり、トウモロコシを茹でて、
無料で振る舞う。

お客様とジャケン大会をして、
勝者に特典を用意する。

フルーサンド専門店でも
ジャンケン大会を企画・実施しているそうです。

「美味しいものを提供する」のは当たり前で
「お客様を楽しませる」ことも追求する。

大山社長の泥臭い努力に
とても共感しました。

 

2024-01-27
『久遠チョコレート 20年の格闘物語』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

十方よし.TVに以前、出演いただいた
久遠チョコレートさん。

カンブリア宮殿に出ると夏目代表から
告知があり、拝見しました。

当時に取材に行ったときよりも、
さらにチャレンジされていて、
感銘を受けました。

ちなみに久遠チョコレートさんでは、
従業員の6割が障害を持っている方が
勤めています。

障害者の方の中には、
月額賃金が1万円程度の方もいます。

久遠チョコレートでは
その10倍近くの賃金を払うことが
できています。

「障害者の方の賃金が低すぎる」と
問題意識を持ち、それを打破しようとする
経営者の方、起業家の方はいます。

しかしなかなかここまでの賃金を支給する
段階までは、事業を成長することはできません。

当然ながら給与が高い=付加価値の高い仕事を
しなければなりません。

チョコレートはそれを実現してくれました。

美味しいチョコレートは科学できる。
そしてチョコレートは失敗すれば
また溶かしてやり直しができる。

重度障害者を雇用する「パウダーラボ」。
石臼を挽き、抹茶を粉末状にする。
その粉末はチョコレートに使われます。

外注していた仕事を内製化し、
仕事を生み出しました。
彼・彼女の役割を創り出したのです。

テレビでは伝えられていませんでしたが、
雇用はしたものの、最初は作業ができず、
落ち着かない方もいたということも聞きました。

パウダーラボに勤めた障害者さんに
初めての給与をお渡しする時は
ご両親も職場に呼び、
その場にいた方は涙涙だったと言います。

障害者雇用率を満たすためだけに
障害者を雇用する企業もあります。

一方で久遠チョコレートは、
障害者を含めた様々な人に雇用の機会を提供し、
より公平な条件を提供できるように
努力している企業もある。

最初はそこまで差はありませんが、
動機や目的の違いは、時間を経て
企業間の大差を生んでいきます。

※『チョコレートな人々』
というドキュメンタリー映画も
ぜひご覧になってください。

 

2024-01-22
『成果が出ても、ぶっ壊して変える』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

サッカー日本代表の森保監督の記事で
目を引く内容がありました。

ワールドカップ後に
名波コーチと前田コーチの2名を新たに抜擢しました。

ベスト8の目標は達成できなかったものの、
ドイツとスペインを破り、
日本サッカーは強くなったということを世界に示しました。

十分な結果を出していながら、
新たに異色な2名のコーチを呼んだのです。

私はてっきり前回と同じ体制で次の4年間を
積み上げていくものだと予想していました。

なぜそれをしなかったか。

「2度目のワールドカップを目指す中で
 最も起こってはならないことは『2期目の馴れ合い』。
 時には壊さないといけないかもしれない。
 そして新たな積み上げをしていなかいといけない」

このようなことを話されていました。

その考えはどこから生まれたか…。

森保監督がサンフレッチェ広島を率いていた時、
見事にJリーグで優勝に導く。

翌年、選手には
「前年と同じようにプレーしよう。
 そうすればタイトルが取れる」
と指導していたそうです。

当然、周りのチームも昨年のデータをもとに
対策を立てて試合に臨みます。

前年と同じようなプレーをしていたら、
結果がついてこなくなったわけです。

その経験が今の代表監督でも活きているようです。

仮に上手く行ったとしても、
現状を壊して、新しいチームを作る挑戦を止めない。

これはビジネスにしても
往々にしてあることですね。

前回、前年が上手くいった。

すると今回、今年も変えることをせず、
同じようにアクションをすればいいと考える。

しかし同じようにアクションをしても、
思うような結果がついてこなくなってしまう。

結果がついてきたら、
現状から特に変える必要がないと考えてしまいがちです。
それが衰退の始まりになっている。

結果が出たとしても、
壊して、変える勇気を持つことが大切ですね。

 

2024-01-18
『専門家は作らない』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

十方よし.TV12月号のゲストは、
穴太ホールディングスの戸波社長でした。

戸波社長の著書、

『葬儀会社が農業を始めたら
 サステナブルな新しいビジネスモデルができた』

こちらもぜひ手に取って読んでみてください。

さて戸波社長との対談の中で
中小企業の経営とは?中小企業の経営者とは?
と考えさせられる点がいくつかありました。

その一つが、「専門家は作らない」ということです。

穴太ホールディングスさんには、
約60名の正社員がいます。

それは過去にAという業務を
できる社員が1名しかいなかった。

その社員に頭を下げて、
仲間が仕事を依頼するような光景もあったそうです。

しかしAという業務は、
時代性からしてどんどん需要はなくなっていったそうです。

マルチタスク化をする。
その過程でその人材の強みも同時に発見する。

実際に様々なタスクを任せてみないと、
その人材の強みは発見できませんね。

稲の収穫の時期には、
東京から北海道に行き、稲刈りも手伝う。

新規事業が立ち上がれば、
既存事業から異動することもしばしば。

入社時前には
「私の仕事は〇〇しかやらないという人は
 うちの会社では難しい。
 様々な業務をやらないといけない」

と説明しているそうです。

つまり1つのことだけをやる
「専門家はいらない」ということを公言しています。

会社全体で見て見ると、
あらゆることができる人材ができたほうが
生産性は高まります。

繁忙期と閑散期がある事業ならば、
なおさらですね。

 

そして変化が激しい時代。
その業務しかできないということは、
「リスクである」とも説明しているそうです。

マルチタスクができていれば、これから伸びる事業へ
希望をもって、キャリアをシフトしていけます。

しかし衰退事業、または縮小事業内のみの専門家であれば、
いくら頑張ろうとしても、将来性も明るくない。

マルチタスク化を最も実践しているのが戸波社長です。

新規事業の実務面は、
ほぼほぼ自分がまずやってみる。

 

葬儀業からスタートし、生花業に参入すれば、
自分で生花市場に足を運ぶ。

仕出し業に参入するならば、
自分で料理ができるようにする。
板前から刺身の切り方を教わったとも言ってました。

農業に参入すれば自分で田植えをして稲刈りもする。

そして最近では、お酒の事業を始めるため、
杜氏も始めている。

新規事業において、プレイヤーとしてまずは熟知する。
仕組みを作って、後任に任せていく。
そして次の新事業へと。
それをものすごいスピードで進めています。

大企業になれば、分業化されていき
専門家は必要になってくるでしょう。

しかし中小企業でいえば、
専門家が返って足を引っ張ってしまうこともある。

 

きっとマルチタスク化された社員は、
「自分はどこでもやっていける」と
自信を身に付けていくでしょう。

会社全体の生産性を高めるには、
「専門家」を育成するという考えもありますが、
「マルチタスク化する」という考え方もあるということを
教えていただきました。