2022-04
2022-04-30『グレーゾーンはアウト』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
ハラスメントセミナーの中で参加者の発言が
気になったことがあります。
「○○といったらパワハラですか?」
「○○という声かけはセクハラですか?」
「○○というセリフはマタハラですか?」
一般常識から考えて、
それは声に出していったらまずいでしょ!
というセリフもある。
とはいえ、その後に大きな問題に発展するかどうかは、
二人の会話の文脈であったり、
加害者と被害者の信頼関係による所が大きい。
ですから一概に
「○○といったら100%、ハラスメントです」
とは特定しにくいこともあります。
「○○というセリフはギリギリセーフですか?
それともアウトですか?」
ハラスメントの境界線を
必要以上に確認したがる方もいます。
OKという判定ならば、
自分の言動を変える必要がないと思っているのでしょう。
ギリギリOKなのか、NGなのか。
それは根本的に考え方が
間違っているように思います。
信号に例えるならば、
赤信号と青信号は誰にでもわかるサインです。
問題は黄色信号です。
ギリギリOKなのか、NGなのかを
確認したがる方は、
この黄色信号(グレーゾーン)のことを
明確にしたいのです。
もしパワハラにならないならば、
パワハラ寸前の範囲で、
振る舞おうと思っているのでしょうか。
黄色信号は「止まれ」と解釈すればいい。
黄色にそもそも踏み込まないようにする。
グレーゾーンの中を明確にするのではなく、
グレーゾーンにそもそも介入しなければいい。
グレーゾーン=アウト
という考え方を持つくらいで丁度いいでしょう。
2022-04-22『研修は挙手か?強制か?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
会社で企画される研修は、
大きく対象別研修と希望者参加型に分けられます。
対象別研修は、階層で区切ったり、
役割・職種・部署で区切ったり。
特別な事情がない限りは、
全員業務の一環として
義務として参加して頂きます。
ただし一部やらされ感が
伴うことがデメリットです。
一方で希望者参加型は、
課題解決したい研修テーマを並べて
自身で手を挙げて参加するスタイル。
意欲的な参加者が集まる可能性が高い。
気づきのクオリティも高まりやすい。
デメリットは受講してもらいたい対象者が
参加しないことが多いということです。
アンガーマネジメントやハラスメント研修。
これらのテーマの場合、
人事の方に情報が入っていれば、
「あの人に受講してもらいたい」
という対象者リストがあったりします。
希望者参加型研修なのに、
上司や人事から強制力を発動して
「○○研修を受けてください」
と本人に伝えると、
欠点を指摘されたように不貞腐れてしまうこともある。
しかし受講して行動改善してもらいたい人ほど、
このテーマの研修を避ける傾向がある。
ですからずっと改善されないまま。
「あなたは必要ない」という人がむしろ
受講する傾向があります。
研修を受講して行動改善されるかは分かりませんが、
届けたい人に届かないのはもどかしいですね。
だから対象別研修でやらざるを得ない。
最も気づいてほしい人に気づいてもらうために。
2022-04-16『なんちゃって1on1』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
1on1をやっている会社は以前もありましたが、
数としては多くはなかったように思います。
コロナ禍になりリモートワークが盛んになってから、
コミュニケーション不足解消のため1on1を
実施している企業が増えました。
それに伴い1on1の相談が増えました。
どのような相談内容かといえば、
・部下が何をしているのか心配なのか、
上司の一方的な指示や主張がメインになっている
・1on1が単なる業務進捗管理ミーティングになっている。
部下が詰められていると感じている
・リラックスさせようとしているが、
内容が雑談で終わってしまって生産性が低い
・特にテーマがなく、場当たり的な時間になっている。
何について対話したらいいのか、分からない。
・他者から見えないため、本当に実施しているのか不明。
1on1の実施報告だけあがってくるが、
形式的・義務的に行われている
といったものです。
部下が1on1の意義を感じていないケース、
上司と部下も1on1の価値を感じていないケースが散見されます。
とりあえず1on1をやりましょうと
我流で始めた企業は、一度ベイシックな1on1を
学んだ方が良いかもしれません。
良いも悪いも「共通の物差し」がそもそも存在しないわけですから。
リモートワーク化は今後も一定の業種・企業で
進んでいくでしょう。
以前のように毎日出勤することが減っていく。
1on1が部下を“管理する手段”という
根本的な考え方を変える必要があります。
管理者の仕事は
部下を管理することではないのですから。
2022-04-07『在庫をセールで捌かない』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よしTV 3月号には
株式会社ふらここ 原代表に登壇していただきました。
ひな人形・五月人形の製造販売をしており、
販売から数ヶ月で完売してしまうこともあります。
なかには1年待ちで購入するお客様もいるそうです。
顧客アンケートでは98%が満足という回答。
なかなかここまでの数字は見たことがありません。
サイズはコンパクトで、
場所をとらずにインテリアのように自宅に飾れる。
何種類もの赤ちゃん顔があり、
自分の子供に似ている顔を探す楽しみもある。
日本橋にはショールームがありますが
ここでは販売を一切していない。
様々なひな人形・五月人形が美しく並び、
私もその場でおもわず購入したくなりました。
それでもその場では売らない。
通販で購入してくださいと案内をされる。
お客様が欲しい!と思ったタイミングで
商品を売るのが鉄則のはずだが、あえてそれをしない。
「スタッフがショールームで営業をしてしまうと、
スタッフの言葉に影響を受けて購入してしまう。
お客様が買いたいものではなく、
スタッフが買ってほしいものを買ってしまう」
と原代表は言います。
他店では、並べられた商品を
「いまなら何%をお安くします」と営業トークをして、
その場で購入を決断させるでしょう。
営業マンのトークが上手ければ上手いほど、
お客様が本来欲しいものではなく、
営業マンが買ってほしいものを購入してしまう。
「頻繁に買うものではないから、慎重に選んでほしいし、
誰から誘導されてではなく、納得したものを購入してほしい」
と原代表は言います。
そのため一時的に感情を煽って、
購入するということはしない。
値引きを一切しない方針のふらここさん。
いじわるな質問をしてみました。
「残念ながらその年の顧客のニーズに合わなくて、
売れ残ってしまう商品も少しはあるはず。
そういう場合は、少しでも安くして売り切りたいという
考えはないのですか?」
「それは絶対にしませんね。
売れ残るとすれば、それはお客様が求めていなかったという証。
それを安くしてでも売るというのは、
お客様は本当に欲しくないものを購入してもらっていることになる」
通常の会社では「在庫は悪」と教わる。
いろんな手段を使って、廃棄するくらいだったらと
在庫をさばくことに注力をします。
ふらここさんではそれもしない。
顧客に対して誠実である姿勢。
それが一貫していて、
どの角度から見ても嘘偽りがない。
顧客の高い満足度は、
その姿勢が作り出しているのかもしれません。
2022-04-01『自立を捨てる』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、あるジャーナリストの方とお話をしていた時に
「自立を促す教育。
これがこれまで間違っていたのではないか?」
と言われていたのが印象的です。
自立=自分の足で立つこと。
他者に依存することは好ましくなく、
子供から大人へ、新入社員から中堅社員になる上で、
「自立」を求められてきたように思います。
むしろそれが普通でした。
自立が賛美されてきて、
自立志向が生みだす負の側面は見過ごされてきたように感じます。
自立を推奨すればするほど、
他人に相談できない、他人に甘えられない、他人に協力を仰げない、
他人に頼れない、他人に弱みを見せられない。
自立をしているように見せるために
欠点や弱みを隠して気高く振る舞うことも…。
こんな状態で会社で働いているとなれば、
気が滅入るのも仕方がありません。
行き過ぎた自立志向は、
かえって会社の雰囲気を悪くしているかもしれません。
「自立を止めよう」「他人に甘えよう」
そうったメッセージを発していった方が、
協力し合える風土が形成されるかもしれません。