2023-08

2023-08-24
『熱海の街づくり。活況を再び』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

以前、十方よし.TVにご出演いただいた、
株式会社machimoriの市来社長。

本日8/3(木)にカンブリア宮殿で
熱海のまちづくりの取組を取り上げていただくそうです。

「住民の意識を変えて復活 新時代の地方再生術!」
https://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/

ぜひご覧になってください。

以前もこのメルマガにてご紹介しました。

熱海の旅館・ホテル宿泊者数は、
1960年代半ばには年間530万人いましたが、
2011年になると246万人と半分以下に落ち込みました。

活気がなかった熱海。
しかし2017年以降、地方創生の先駆けとしても
知られるようなりました。

株式会社machimoriさんは熱海の街全体を
リノベーションすることにチャレンジ中。

中心街でのマルシェを企画したり、コアーキングスペースやカフェ、
ゲストハウスなどの事業をされています。

最新の活動は上記の「カンブリア宮殿」でご紹介されるでしょう。

当時のお話で印象的だったことがあります。

それは、自社で独占せず、街体験をすること。

ゲストハウスを運営していると、
朝食を希望する宿泊客がいます。

本来ならば自社で朝食を全て用意をすることが
顧客の希望に沿うことになります。

しかしここではご飯とお味噌汁のみ提供。

ゲストハウスの向かいにある老舗干物屋さん3軒で
お好きな干物を自分で購入しなければなりません。

ゲストハウス内のグリルで干物を焼いて、
新鮮なまま食べられるモーニングサービスを提供しています。

 

一般的な考えならば、干物を自社で仕入れして、
朝食につけることを考えませんか?

しかしここではわざわざ、
おかずである干物を干物屋さんに購入しに行きます。

これに市来さんの事業への考え方が
表れているなと思いました。

きっと干物屋へ購入しに行くことで、
干物屋さんとの交流機会を作り、
プロから干物の魅力を直に感じてもらい、
美味しさを堪能してもらう。

 

熱海の街そのものを好きになってもらう一工夫なのでしょう。
干物屋さんも潤い、ゲストハウスと共存共栄関係ができます。

顧客の希望に自社のみで答えるのではなく、
街全体として答えること。

街づくりにはそういった視点が必要なのかもしれません。

 

2023-08-20
『11年経っても70人の街』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

福島県双葉町に行ってきました。

双葉町は、2011年の東日本大震災に伴い発生した
東京電力福島第一原子力発電所事故で
全町避難を強いられました。

11年経ってようやく2022年8月に一部地域で避難指示が解除され、
住民の帰還が始まりました。

しかし一度離れた住民はなかなか戻らず。
7000人いた町民は現在は70名だと聞きます。

アンケートでは、避難先で自宅を購入・建築しており、
将来も継続的に居住する予定のため、
町に戻りたいと答えている人は11%だといいます。

 

さて2011年の震災時に、
福島第一原発ではどのようなことが起きていたのでしょうか。

映画『Fukushima 50』
ドラマ『THE DAYS』

門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』が
どちらも原作になっています。

これらは当時の状況を詳細に記しています。

東電と官邸との責任の押し付け合い、
東電本部と吉田所長含めた事故現場での意思疎通が
上手く行かないもどかしさ。

放射能の見えない恐怖も伝わってきます。

暴走した原発を止めなければいけないが、
制御装置のコントロールがきかない。

危険と隣り合わせの中で、有事のリーダーシップが見られます。

若い社員を守ろうと、ベテラン社員が
原子炉建屋内に突入する決死隊を志願する。

水素爆発後、万が一を想定し、
最低限の人間だけを残して、
他の多数社員や協力会社を安全な所へ避難させる。

 

過去に例がない大事故。
最後の最後まで考えつく限りの方法で冷却作業をし
”最悪の結果”を引き起こさないように最善を尽くします。

”最悪の結果”とは、首相の発言にもあったように、
「日本が北海道と西日本に分断されてしまう」。

つまりそれは福島を中心とし、
関東から東北まで人が住めなくなってしまうことを意味します。

賛否両論あると思いますが、
”最悪の結果”を招かなかったのは、
命を懸けて立ち向かったリーダーがいたから。

それは間違いありません。

 

2023-08-13
『失敗すらさせてもらえない新卒社員』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

A社では新卒社員が毎年10名前後入社しています。

新卒採用が途切れたことは直近10年間ではなく、
受け入れ側も「慣れている」ように見えます。

指導係役は、最近の若者の傾向ということを学習し、
時代に即したOJTを実施しているようです。

 

一人でも新卒社員が退職すると社内で大騒ぎになり、
「過敏反応かな?」と思うことも。

A社の新卒社員の話を聞くと
凹むほど「失敗の経験はなかった」と言います。

その新卒社員が優秀なのかと最初は思いましたが、
他新卒社員も同様のコメント。

「失敗レベルの経験はない。軽いミス程度です」
と言うのです。

新卒社員は凹みやすい
→転ばないように事前に丁寧に教える
 →言われた通り忠実にやれば失敗はない
  →「失敗の経験」がない

こういった因果関係があるように思います。

 

例えは適切かどうか分かりませんが、
わが子に過保護になっている親のようです。
先回りして子供がケガをしないように環境を整えてしまう。
ケガをすることさえ、させてもらえない子供。

「新卒の受け入れができている会社
 =新卒に過保護な会社」

こんな間違った方向にいっていませんか?

「失敗をしていない」という新卒社員が
自信や実力を身につけているか?と言えば
疑問が残ります。

 

失敗をさせてもらえないこと。
それも可哀そうなだなと思います。

失敗から学ぶことの方がはるかに多いですからね。

新卒社員に失敗の機会を与えてあげましょう。

 

2023-08-10
『業界の常識=他業界の非常識 PART2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

前回に引き続き、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内院長から学んだことです。

「私が大病院で勤務していた頃は、
 仕事はやって当たり前。
 褒められたことはありません。
 
 だから自分が開業した当時、
 スタッフを褒めることができませんでした。

 “やって当たり前”の環境で育ってきたので
 それが当然だと思っていました」

 

このように大河内院長は当時を振り返っていました。

医療や福祉分野の方は「共感疲労」になりやすいといいます。

共感疲労とは、大変な状況にある相手へ共感してしまうため、
自分が実際に体験しているわけではないのに
精神的に疲れてしまうこと。

感受性が強かったり、気遣いができる人、
使命感が強い人ほど共感疲労に陥りやすいといいます。

心が疲労していようが相手に尽くす仕事。
そして緊張感を持ち続けなければならない。

 

医療人は仕事であるから、
「褒められる」とか「感謝される」ことを
期待してもいけないという風潮さえ
あるのかもしれません。

大河内内科クリック様は、
「感謝しあうこと」「認め合うこと」といった
他業界ではごく当たり前に思えることを
真摯に取り入れていきました。

そういった取り組みの結果、離職率が下がり
看護士や医療事務スタッフが定着。
医療サービスの安定化と向上に繋がっていきました。

このくらいは「業界の常識」と思い込まれていること。
そこに魅力的な会社になれるヒントがありそうです。

 

2023-08-02
『業界の常識=他業界の非常識』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV7月号のゲストは、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内内科クリニックの大河内院長です。

2020年に「第10回日本で一番大切にしたい会社大賞」で実行委員会特別賞、
2021年 第7回ホワイト企業大賞で「医療経営革新賞」を受賞されています。

また大河内院長は
2023年「TED TALK」にも
歴史上日本人医師として初めて登壇されています。

いまや全国から同業者の方が見学に来られるクリニックになりました。

開業当時のクリニック内は、責任の押し付け合いが起きたり、ミスが連発。
次から次に人が辞めていき、危険な状態だったと言います。

そこから、「医療業界の常識」と思われており、
「他業界から見れば非常識」な点を改革していきます。

・ご家族の方へ手術(室)のオープン化
・複数のインフルエンザ治療薬の説明(効能と費用)と患者の選択権
・血液検査と健康診断結果を当日に渡すこと
・待ち時間を減らすためのブザーシステム
・マニュアルに縛られない治療方針(=様々な事情を持つ個に合わせた治療)
・糖尿病のダラダラ治療(=インスリン投与を止められない)からの脱却

上記が一例です。

どうしても医療現場は、
「病院>患者」という力関係で成り立ち、
現場が閉塞化されていたり、
患者目線の欠如が見受けられることがあります。

医療業界もサービス業化してきていますが
まだまだ「病院・医師>患者」という構図は崩れていません。

例えば診療予約システムで予約を入れていても、
1時間以上待つこともありますね。

他業界ならば予約時間から1時間以上待つならば、
クレームを入れるお客様もいるのではないでしょうか?

1時間以上待つならば、予約の意味がありませんね。

しかし我々は「病院はそういう所だから仕方がない」と
受け入れてしまっている。

病院側も「予定通りはいかない。仕方ない」と考え、
改善まで至らない。

「病院>患者」というパワーバランスの中で、
治療面、サービス面において、
なかなか進化していかない。

大河内内科クリニックさんは、
そういった他業界から見たら「おかしい」という所を
1つずつ変えてきました。

業界の常識=他業界の非常識。

我々の業界の常識をまずは疑ってみることから
始めてみましょう。