2023-12

2023-12-31
『若者が分からないズレたおじさん その3』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

前回に続き、世代間ギャップについて
振れたいと思います。

 

転職をテーマにしたあるドラマでは、
「石の上にも3年。これはもはや死語です」
という場面があります。

もともと“石の上にも3年”という意味は、
「辛くても我慢強く耐えていれば、いつかは必ず成功する」
ということです。

 

皆さんも先輩社員や上司から
「3年働ければ、とりあえず1人前になり、
 この仕事が分かってくる。3年は会社を辞めるな」
と教わった方もいるでしょう。

ただこれをそのまま「石の上にも3年だぞ」
と若手社員に伝えた所で、
「はい、分かりました!」となるでしょうか…。

むしろ近年ではマイナスイメージを抱くようです。

上司の声:
「目的や意義なんて分からなくていい。
 とにかく量をこなして、がむしゃらにやる。
 3年続けないと何も分からない」

若手社員の声:
「3年間は黙って辛抱しろってこと? 
 この状態で3年間、仕事をするなんて罰ゲーム。
 どうせなら価値あるスキルを身に付ける意味ある3年にしたい」

若手社員からすれば、
「そもそも3年という根拠は?」ということなんでしょう。

自分へのメリットがあるか?
明確に獲得できるものがあるか?
それなしでは3年間続けるということに意味を見出せないのでしょう。

 

3年という期間を設定するのではなく、
1つ1つの仕事の意味・意義を明確にし、やりがいを感じ、
気づいたら3年経っていたというのが理想の姿なのかもしれません。

 

2023-12-25
『若者が分からないズレたおじさん その2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

前回に続き、世代間ギャップについて
振れたいと思います。

A社の48歳山口課長(仮名)は、
若手の育成に悩んでいました。

25歳の木村さん(仮名)は入社3年目。

ルーチン業務には慣れてきているが、
モチベーションも上がらない。

そこで山口課長は、毎日同じような仕事ではなく、
刺激がある仕事が必要と考え、
閉店時の店内清掃業務のマニュアル作成を木村さんに頼んだ。

 

「木村さん、閉店時の清掃業務が個々でバラバラになっていて、
 クオリティが一定ではない。
 目線を合わせるために、基準を見える化・言語化する必要があると
 思うんだ。そこで閉店時の清掃業務のマニュアル作成にトライして
 ほしいんだけど…」

「分かりました。やってみます。
 でも確か1年前くらいに、閉店時の清掃業務のマニュアルを
 佐藤先輩が作成した記憶があります。
 参考にしたいので、そのデータをいただけますか?」

 

「それは当時の佐藤さんの考えで作成したもの。
 今回はゼロベースで、木村さんが独自に作ってほしい」

「ゼロからですか?
 せっかく佐藤先輩が作ったものがあるから、
 それを改良したらどうかと思うんですが…」

「このマニュアルをゼロから作ることは、
 木村さんの成長に間違いなく繋がると思うよ」

「あっ…、はい…」

山口課長は部下の成長のためにと、
ゼロからのマニュアル作成を考えた。

しかし木村さんからしたら、
本当にゼロからやることに意味があるのか?
タイムパフォーマンスが良いのか?

成長のためにという大義で、結局のところ、
マニュアルが使われないのではないか?

ゼロから作成しても、佐藤先輩のものと重複することがあり、
効率が悪いのではないか?

 

佐藤先輩が作成していない内容をゼロから作成するならば、
そこに時間を割くことは理解できるが、
重複する内容に時間を割くことは無駄なのではないか?

こんなことを木村さんは考えているのではないでしょうか。

「はい、分かりました」と即座に返事をして、
取り掛かることを推奨された世代から見れば、
何で素直に取り掛からないの?と思うかもしれません。

木村さんの考えも理解できます。

どうせエネルギーを割くならば、できる限り価値があることに
エネルギーを使いたい。

どうせ自分の時間の割くならば、できる限り無駄なものは排除して、
効率的にやりたい。

 

上記を払拭できないと、おそらく頭の中で疑問符が浮かび、
不満を漏らしながら仕事に取り掛かるでしょう。

省力化、コストパフォーマンス、タイムパフォーマンス。

これらの捉え方は、世代間で大きなギャップがありそうです。

 

2023-12-17
『若者が分からないズレたおじさん その1』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

最近の若者は何を考えているのか分からない…。
そういう悩みをよく聞きます。

特に1987年以降の生まれのゆとり第一世代と
ポスト団塊ジュニア世代(昭和50年~56年生まれ)の
世代間ギャップは大きいという見方もあります。

某サービス業の複数の店舗責任者を担当する、
A社の48歳山口課長(仮名)。

 

彼はこのように言っていました。

「最近の子は、怒るとすぐに心が折れてしまうからね。
褒めてやらないとね。
“私を認めてほしい”という承認欲求が強いから、
とにかく褒めて自信をつけさせないとね」

 

若い子のやる気を伸ばすには褒めればいい。
少し安易な考えにも聞こえました。

店舗内の表彰制度を通じて
若手社員Tさんを褒め讃えました。

 

そして山口課長はコメントを付け加えました。

「Tさんは1年目でこの行動は素晴らしいね。
 2年目、3年目の若手社員の皆さんも彼女から学んでください。
 追いつかれている先輩たちは、気合を入れ直してください」

表彰されたTさん。
意外にも表情が曇っていました。

後日、Tさんの同期の方から聞いた話では、
「褒められるのはそれはそれで嬉しいけれど、
 もう少し控えめにできないかな。
 ものすごいことをやったわけでもない。
 しかも私と比較をして、先輩たちに叱咤激励のようなことを
 言われると、先輩たちも不快に感じるはず。
 今後の私の行動をじろじろ見られそうで、プレッシャーに感じる」
 

褒められることは嬉しいが、
比較をされて“悪目立ち”することは望んでいない。
アピールが過ぎると叩かれると学習をしてきている若者もいます。

山口課長は、Tさんのモチベーションを上げるために褒めたのに、
実際は下げてしまっている事例でした。

 

2023-12-14
『見えるものに簡単に飛びつくな』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

出版記念講演会に参加してきました。

書籍:『仕事は君を幸せにする』

帯には「20代のうちに知っておきたいこと」とありますが、
経営者としても知っておきたい内容です。

今回の話で共感した点は、

「ハードの上のソフト。
 ソフトの上にソフトは甘々で成り立たない」

「本質を見ずに形だけを見てしまう」

といった点です。

 

事例として、

「グーグルではこんな福利厚生をやっています。
 だからうちでもやりましょうと、社員から提案が出る。
 ソフト・形だけを見ている。
 日本とは異なり、アメリカならではシビアな雇用関係がある。
 そしてほとんどがトップダウンの組織である。
 そのハードがあってのソフトであるということが見えていない」

他社の事例を調べるという点ではよいのかもしれません。

ただそれを真似るとなると、
上澄みだけ真似ては成り立ちませんね。

私が視察に行くような会社でも、

社外の人には、「人を大切にし、人に優しい会社」と映っている。
しかし内部で働いている方の話を聞くと、
「めちゃくちゃ、仕事や成果に厳しいです」という声が返ってきます。

 

「仕事や成果に厳しい」というハードな面が抜け落ちて、
「人を大切にし、人に優しい会社」というソフト面だけが広がる。

これが勘違いの温床なのでしょう。

「あの会社は自由。自由な制度が羨ましい」と
ソフトな面が広がりやすいですが、

一方それだけ「自由が大きいということは、責任も大きい」という
ハード面が抜け落ちてしまう。

形は、努力をしなくても見えてきます。
形の下には根があったり、背景もある。
根や背景は、見る努力をしないと見えてきませんね。

 

2023-12-08
『福島県双葉町には日本の未来がある』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV1月号のゲストは、
浅野撚糸株式会社の浅野社長。

以前のメルマガでも少しご紹介しました。

ヒット商品「エアーかおる」は、
吸水性、持続性、肌触りが抜群。
我が家も愛用しています。
ぜひ通販で、お買い求めください。

浅野撚糸様は、福島県双葉町に「双葉スーパーゼロミル」
という工場(店舗も併設)を稼働させました。

一世一代の大勝負と言ってよいかもしれません。

 

双葉町は、地震と津波と原発。
この3つが重なってしまった世界でも類を見ないケース。

双葉町には、直近11年間誰も住んでいませんでした。

昨年の秋に戻られた住民の方は約30人。
今年の夏の時点で居住者60名。

以前のように7000人が住んでいる町には戻っていません。

震災の時に何もできなかった後悔。
自社も過去に水害被害から救われた御恩があること。
双葉町長の熱心なオファー。

様々な思いがあり、ここ双葉町で
誰もやりたがらないチャレンジを浅野社長は始めました。

浅野社長には夢があります。

「昭和20年に終戦を迎える。
 そこから約11年後に東京オリンピック誘致決定。
 あれだけ戦争によってボロボロになった国が
 オリンピック誘致までこぎつけた。
 日本は奇跡の国と言われた。経済大国になった。

 ここ双葉でそれを再現したい。
 双葉の復興が福島の復興、福島の復興が東北の復興、
 東北の復興は日本の再生。
 チェルノブイリは再現していない」

 

何もない双葉町。ここからどのように復興していくのか。
それは終戦後の日本の姿。
力強く復興していく姿がここにあります。

 

こんなメッセージが工場内には掲げられています。

京都には日本の昔がある。
東京には日本の今がある。
双葉には日本の未来がある。

飲食店と販売ショップが
工場内には併設されています。

 

工場を地域の方にお披露目会をした際のエピソードをお聞きしました。

「酸素吸入しながらショップに来られた老夫婦がいました。
 話を聞くと全財産(50万円)をもって応援に来たというのです。
 この老夫婦はもともと双葉町民。
 何とかに力になりたいと思ってくれたそうです。
 50万円使おうと思ったけど、10万円分の商品を買ったら車に乗らない。
 次回来た時に40万分購入するわと言って帰られました」

「英雄気取りするな等、批判的な意見もあった。
 だからこのチャレンジに迷いがあった。本当にやるべきだったのか…と。
 しかし、こういった応援者の方もいて、
 本当にこのチャレンジをやってよかったと思います」

双葉には日本の未来があります。
そして忘れかけていた日本の精神のようなものもあります。

 

2023-12-02
『楽観主義は意志に属する』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

フランスの哲学者でアランは、

「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」

という言葉を残しました。

家族のこと、会社のこと、友人のこと、お金のこと、
人間関係のこと、健康のこと、将来のこと。

いつも何かしらに悩んでいる人も
多いのではないでしょうか?

私も大小はあるものの、いつも何かに悩まされて、
現実逃避したくなることもあります。

そしてそのモードを引きずってしまい、
日常的に素直に楽しめない時間帯があります。

 

もっと楽観的な人間だったらな…と
他人を羨ましく思えることもありました。

楽観主義は“天性のモノ”と思っていましたが、
そうとも言えないようです。

実は楽観的に見せているだけで
アランの言葉にあるように、意思で作り出しているのです。

楽観と楽天とは異なる。
楽観的とは「最善を尽くす」というもともとの意味がある。

 

ニュースを見ればネガティブな情報ばかり。
普通に仕事をしていればネガティブな出来事が多数。

意志を持って舵を切らなければ、気分に引っ張られ、
知らない間に悲観的になっているでしょう。

楽観的に強く見える人も、実は悲観的で弱い。

それが分かっているからこそ、
気分に引っ張られないように、
意思で最善策を探し、希望を見出しているのです。

自分を導けるのは自分の意志です。