2024-01

2024-01-27
『久遠チョコレート 20年の格闘物語』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

十方よし.TVに以前、出演いただいた
久遠チョコレートさん。

カンブリア宮殿に出ると夏目代表から
告知があり、拝見しました。

当時に取材に行ったときよりも、
さらにチャレンジされていて、
感銘を受けました。

ちなみに久遠チョコレートさんでは、
従業員の6割が障害を持っている方が
勤めています。

障害者の方の中には、
月額賃金が1万円程度の方もいます。

久遠チョコレートでは
その10倍近くの賃金を払うことが
できています。

「障害者の方の賃金が低すぎる」と
問題意識を持ち、それを打破しようとする
経営者の方、起業家の方はいます。

しかしなかなかここまでの賃金を支給する
段階までは、事業を成長することはできません。

当然ながら給与が高い=付加価値の高い仕事を
しなければなりません。

チョコレートはそれを実現してくれました。

美味しいチョコレートは科学できる。
そしてチョコレートは失敗すれば
また溶かしてやり直しができる。

重度障害者を雇用する「パウダーラボ」。
石臼を挽き、抹茶を粉末状にする。
その粉末はチョコレートに使われます。

外注していた仕事を内製化し、
仕事を生み出しました。
彼・彼女の役割を創り出したのです。

テレビでは伝えられていませんでしたが、
雇用はしたものの、最初は作業ができず、
落ち着かない方もいたということも聞きました。

パウダーラボに勤めた障害者さんに
初めての給与をお渡しする時は
ご両親も職場に呼び、
その場にいた方は涙涙だったと言います。

障害者雇用率を満たすためだけに
障害者を雇用する企業もあります。

一方で久遠チョコレートは、
障害者を含めた様々な人に雇用の機会を提供し、
より公平な条件を提供できるように
努力している企業もある。

最初はそこまで差はありませんが、
動機や目的の違いは、時間を経て
企業間の大差を生んでいきます。

※『チョコレートな人々』
というドキュメンタリー映画も
ぜひご覧になってください。

 

2024-01-22
『成果が出ても、ぶっ壊して変える』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

サッカー日本代表の森保監督の記事で
目を引く内容がありました。

ワールドカップ後に
名波コーチと前田コーチの2名を新たに抜擢しました。

ベスト8の目標は達成できなかったものの、
ドイツとスペインを破り、
日本サッカーは強くなったということを世界に示しました。

十分な結果を出していながら、
新たに異色な2名のコーチを呼んだのです。

私はてっきり前回と同じ体制で次の4年間を
積み上げていくものだと予想していました。

なぜそれをしなかったか。

「2度目のワールドカップを目指す中で
 最も起こってはならないことは『2期目の馴れ合い』。
 時には壊さないといけないかもしれない。
 そして新たな積み上げをしていなかいといけない」

このようなことを話されていました。

その考えはどこから生まれたか…。

森保監督がサンフレッチェ広島を率いていた時、
見事にJリーグで優勝に導く。

翌年、選手には
「前年と同じようにプレーしよう。
 そうすればタイトルが取れる」
と指導していたそうです。

当然、周りのチームも昨年のデータをもとに
対策を立てて試合に臨みます。

前年と同じようなプレーをしていたら、
結果がついてこなくなったわけです。

その経験が今の代表監督でも活きているようです。

仮に上手く行ったとしても、
現状を壊して、新しいチームを作る挑戦を止めない。

これはビジネスにしても
往々にしてあることですね。

前回、前年が上手くいった。

すると今回、今年も変えることをせず、
同じようにアクションをすればいいと考える。

しかし同じようにアクションをしても、
思うような結果がついてこなくなってしまう。

結果がついてきたら、
現状から特に変える必要がないと考えてしまいがちです。
それが衰退の始まりになっている。

結果が出たとしても、
壊して、変える勇気を持つことが大切ですね。

 

2024-01-18
『専門家は作らない』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

十方よし.TV12月号のゲストは、
穴太ホールディングスの戸波社長でした。

戸波社長の著書、

『葬儀会社が農業を始めたら
 サステナブルな新しいビジネスモデルができた』

こちらもぜひ手に取って読んでみてください。

さて戸波社長との対談の中で
中小企業の経営とは?中小企業の経営者とは?
と考えさせられる点がいくつかありました。

その一つが、「専門家は作らない」ということです。

穴太ホールディングスさんには、
約60名の正社員がいます。

それは過去にAという業務を
できる社員が1名しかいなかった。

その社員に頭を下げて、
仲間が仕事を依頼するような光景もあったそうです。

しかしAという業務は、
時代性からしてどんどん需要はなくなっていったそうです。

マルチタスク化をする。
その過程でその人材の強みも同時に発見する。

実際に様々なタスクを任せてみないと、
その人材の強みは発見できませんね。

稲の収穫の時期には、
東京から北海道に行き、稲刈りも手伝う。

新規事業が立ち上がれば、
既存事業から異動することもしばしば。

入社時前には
「私の仕事は〇〇しかやらないという人は
 うちの会社では難しい。
 様々な業務をやらないといけない」

と説明しているそうです。

つまり1つのことだけをやる
「専門家はいらない」ということを公言しています。

会社全体で見て見ると、
あらゆることができる人材ができたほうが
生産性は高まります。

繁忙期と閑散期がある事業ならば、
なおさらですね。

 

そして変化が激しい時代。
その業務しかできないということは、
「リスクである」とも説明しているそうです。

マルチタスクができていれば、これから伸びる事業へ
希望をもって、キャリアをシフトしていけます。

しかし衰退事業、または縮小事業内のみの専門家であれば、
いくら頑張ろうとしても、将来性も明るくない。

マルチタスク化を最も実践しているのが戸波社長です。

新規事業の実務面は、
ほぼほぼ自分がまずやってみる。

 

葬儀業からスタートし、生花業に参入すれば、
自分で生花市場に足を運ぶ。

仕出し業に参入するならば、
自分で料理ができるようにする。
板前から刺身の切り方を教わったとも言ってました。

農業に参入すれば自分で田植えをして稲刈りもする。

そして最近では、お酒の事業を始めるため、
杜氏も始めている。

新規事業において、プレイヤーとしてまずは熟知する。
仕組みを作って、後任に任せていく。
そして次の新事業へと。
それをものすごいスピードで進めています。

大企業になれば、分業化されていき
専門家は必要になってくるでしょう。

しかし中小企業でいえば、
専門家が返って足を引っ張ってしまうこともある。

 

きっとマルチタスク化された社員は、
「自分はどこでもやっていける」と
自信を身に付けていくでしょう。

会社全体の生産性を高めるには、
「専門家」を育成するという考えもありますが、
「マルチタスク化する」という考え方もあるということを
教えていただきました。

 

2024-01-13
『残存者利益を目指す』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV12月号のゲストは、
穴太ホールディングスの戸波社長でした。

『葬儀会社が農業を始めたら
 サステナブルな新しいビジネスモデルができた』
という書籍を出されています。

葬儀事業の関連業務を内製化していき、
新規事業化していきました。

例えば生花業。
市場で出回っている原価を知り、それならば自社でやろうと決意。
(どうしても生花業は廃棄率が高い)
自社でフラワーショップを開業します。

 

蕾の状態で仕入れて、フラワーショップで販売。
その後、花が開いてきたら葬儀用に展開。
しかも、よくある菊だけでなく、
自分で好きなお花で飾りつけができるサービスも提供。

これによって生花の廃棄処分が圧倒的に減り、
利益率をあげることができているそうです。

続いて仕出し業も内製化。
お弁当やコース料理を自社で提供できるようにする。

職人がいなくても美味しいものが提供できるよう、
レシピをマニュアル化します。
結果、パートさんでもできるようになっています。

さらにはここで終わらず、
自分たちで北海道に農地を取得。
そこでお米を作り、葬儀の返礼品にも使用する。

 

「ゆめぴりか」というブランド米を作られています。

お米作りから出る廃棄物も活かします。
稲藁を活用して白い鶏卵を産み、6個で400円。
さらには白い卵を使ってプリンを商品化。

 

賞味期限が近くなった米は甘酒に。
米糖からは化粧品を作っています。

これら米作りにおいても、
一貫して廃棄するものがないよう
最大限に有効活用されています。

これからの時代に必要な
サステナブルなビジネスモデルでしょう。

 

戸波社長が社内で言われていることが
「残存者利益を目指す」ということ。

競合他社よりも1日も長く生き延びることが、
会社の維持発展に繋がる。
どんな業種であれ一定の市場は残る。
その市場において競合他社が減っていけば
自社の売上が増えることもある。

 

特定の業界、特定の地域で
しぶとく生き残っていければ、十分にやっていける。

そのために「負けない経営」をし、利益を重視して企業体力をつける。
新規事業をやっているのもその一環だということです。

マーケットが縮小する業界が多い中、
中小企業がその渦中で生き残っていくには、
大いに参考になる考え方が詰まっている経営でした。