経営理念浸透ブログ
2024-11-18『7分間の奇跡』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV10月号のゲストは、
合同会社おもてなし創造カンパニーの
矢部輝夫氏。
前職時代、TESSEIにて
功績を残された方です。
従業員の定着率も低く、
事故やクレームも多かった新幹線の清掃会社に
「トータルサービス」の考えを定着させ、
おもてなし集団へと変革しました。
経済産業省「おもてなし経営企業選」、
「サービス・ホスピタリティ・アワード特別賞」を
受賞したほか、ハーバード大学ビジネススクールが
2015年からMBAのケーススタディとしても
採用されているそうです。
東京駅であの短い時間で
新幹線内を綺麗に清掃。
一礼をするスタッフの姿を
ご覧になったことがあるでしょう。
「7分間の奇跡」とも呼ばれています。
仕事を再定義しました。
「掃除屋」ではなく、
お客様の「思い出づくり」業へ。
制服も変えたことも
意識変化に繋がったといいます。
たかが制服。されど制服。
清掃グッズも外部から汚く見えないように
改良しました。
意識を変えるために
形から入ることの重要性を教えてくれました。
また認め合う文化を作ることにも尽力します。
100ー1=0
これは通常、1回のミスが命取りになる、
1回のミスがすべてを台無しにするという意味で
サービス業の研修等で使われます。
矢部氏は、上記の様に考えず
「99」のことを忘れてしまっているのでないか?
と捉えます。
普段、きちんとやってくれている「99」に着目し
認め合うことが重要ではないかと考えます。
それはエンジェルレポートいうものに書かれ
年間にして1万件以上、寄せられるそうです。
TESSEIの事例は
ハーバードビジネススクールで
扱われることからも稀なケースです。
自分たちの仕事を再定義して、
あれだけプロフェッショナルな仕事を
されているわけですから。
皆さんの会社にも応用できる点が多々あるでしょう。
2024-11-14『多面評価を間違わないために』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
フィードバック研修や人事査定時に、
他者(多面)評価の要素を盛り込んでいる企業が多いかと思います。
他者(多面)評価を実施すると、
社員にストレスがかかることは研究で検証されています。
だから運用には丁寧な計画や配慮が必要です。
自己評価よりも悪い他者評価を受けた人は、
以下の3つの行動をとりやすいそうです。
1 詮索
自分に悪い評価を付けたのは誰かを探る。
なぜそのようなことを書くのか、
細かく調べようとする。
2 防衛
自分が受けた評価を認めず、頑なに否定する
3 態度硬化
自分の態度や意見を押し通すために、強固な態度になる
この3つの行動をとってしまうことは
予め容認しつつ、
内省を通して、自分と向き合う時間が来る。
誠実に向きあうモードになれば、
気づきも深く、行動変容にまで至ります。
自己評価と他者評価は基本的にズレが生じる。
特に最もギャップが出るのが上司評価と自己評価です。
評価対象者が上司であることがほとんどなので、
ギャップが大きい=上司への不満が出やすいということです。
自己評価が高く、他者評価が低いことを
フィードバックされると、成長に繋がる可能性が高い。
多面評価は強力な行動変容ツール。
だから日常的に使われています。
しかし心理的なダメージが大きい。
「気づき」にはショックが必要ですが、
ショックのコントロールをする必要があります。
2024-11-03『部下は育つのか?それとも育てるのか?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
人材育成の方針は、大きく分ければ2つに集約される。
育つのか?それとも育てるのか?
「人が成長するかはその人の資質次第。
育てられるなど、おこがましい。」
という人もいる。
一方で
「人は必ず変われる。手塩にかければ成長する。」
という人もいる。
どちらが正しいか、
議論した所で結論は出ない。
人は人により影響を受ける。
人材育成で要となるのが「フィードバック」です。
学術研究によると、当たり前の話だが
フィードバック効果を高める上で重要なのは、
フィードバックした人とされた人との関係性。
上司との関係性が良好であれば
部下は自らフィードバックを求める傾向もあるそうだ。
一方、関係が悪いと
学習活動が抑制され、
相手が改善しようとする気が起きない。
つまりフィードバックが無意味になるということ。
またフィードバックする人が持つ「暗黙の知能観」も
フィードバック効果に大きな影響を与えるそうだ。
「暗黙の知能観」には大きく2つ。
A:固定理論
人の能力は固定的で変わらない
B:増大理論
人の能力は努力によって伸ばせる
AとBのどちらの知能観を持っているかにより、
考課面談の方法も変わってくるでしょう。
Aであれば「結果」を伝えることに
重きをおく。
Bであれば今後の「伸びしろの開発」に
重きを置く
少なくとも若手人材の育成を担う方は
「増大理論」を持っていてほしい。
2024-10-31『飲みニケーションに一工夫』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、取材に行ったA社では
年に何回か「社長と飲みニケーション」が
企画されています。
A社ではあるツールを使って
個々の行動特性の分析および結果の共有をしています。
その結果を踏まえて、
自己主張と自己表現が苦手な人が
一定数いることが分かりました。
そこでそういう人たちの特徴を考慮し、
飲みにケーションの場でも一工夫されています。
・乾杯と締めの挨拶、席はくじ引き、
・乾杯の後は自己紹介と近況報告=チェックイン 3分/人
・その後は社長に一人3つの質問(※予め各自で準備)
・チェックアウト 1分/人
その場で急遽、何か話して!と言われても、
即答に困るタイプもいます。
そのために予め参加者には、
上記の内容が伝えられています。
共通の話題があったり、
自己開示の要素があった方が、
その後に歓談もしやすいですよね。
A社ではこの飲み会を
楽しみにしている方が多いそうです。
会社で行う飲み会が
ただの飲み食いで終わってしまっていて、
もっと有意義にできないかな?
と思うことがありますよね。
一方でそんなに堅苦しくしなくても…
という声もありそうです。
せっかくの懇親の場を設けるならば、
もう少し意味にあるものしたい。
そのように思われる方は
A社のように飲みニケーションに
一工夫してみてください。
2024-10-19『日本で初めて徳目評価を導入』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV 9月号のゲストは、
富士製薬工業の今井会長。
産婦人科領域治療薬としては、
日本トップメーカーです。
加齢と共に起こる女性の体調変化。
まだまだ日本医療は女性に
ウィルビーングに寄り添えていないことに
危機感をお持ちでした。
さて富士製薬工業様は
日本で初めて「徳」を評価制度の軸においた会社です。
徳とは「自己の最善を他者に尽くしきること」
と今井会長は定義しています。
2011年から徳目評価として社内で運用スタート。
毎年改良を繰り返しています。
他業界から「徳目評価」に関心を持ち、
お話を聞きに来る方もいらっしゃるそうです。
7つの徳目(仁・義・礼・智・信・覚悟・中庸)
19の指標に分かれています。
内容は、日本人として、
人間として大切な基本原則のような項目です。
上司だけでなく周囲のメンバーからの
他者評価を入れています。
今井会長のお話で興味深い点は、
「実績を出している社員は、
徳目評価が高いという相関関係。
それが何年も運用しているうちに見えてきた」
という点です。
短期的視点で言えば、
おそらくスキルの高い人材、経験値が高い人材が
実績を出していたのかもしれません。
しかし長期的視点に立つと
実績を出し続けるには
「徳目」が外せないということが分かってきたようです。
「昔はコンピテンシー評価などを導入してみましたが、
何かフィットしない時代がありました」
とも言われていました。
この違和感を放置しておかなかった点が
素晴らしいですね。
短期的ではなく長期的・持続的に
結果を出している人材は、
「徳目」に準じた行動をしている。
持続的成長を考える経営者は、
経営の軸に「徳」を置いてみてください。
2024-10-12『なぜこの会社は新規事業が次々に生まれるのか?』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、A社長のお話を聞く機会がありました。
A社長の会社ではコロナの苦境を乗り越えて、
コロナ前の業績にまで回復しているそうです。
興味深いことに、30種類近くの
様々な業種・業態の店舗を経営されています。
30種類近く、別々の業種店舗をやるのは
本来は効率が悪いはずです。
もっと業種を絞ってやっていけば、
店舗展開も可能なはずです。
ただそこにはA社長は関心がないようです。
人材で勝負できる会社でありたい。
そしてチャレンジし続ける会社でありたいと。
驚くべきことに、
すべての店舗の立ち上げは、
社員が自ら手をあげて実現したもの。
強制的に新規事業をやりなさいと
会社から命令をしていません。
本気でやりたい人が手を挙げて、
この会社の資源とフィールドを活かして
事業開発をしているのです。
なぜそのようにされているのか。
A社長は言います。
「会社から新規事業をやれと言われてやる。
上手くいかなかったら会社のせいにします。
でも本気で自分がやりたいことを見つけてきて、
やりたいことを役員へプレゼンする。
そのような出発点だと
上手くいかなくても会社のせいにしません。
そしてどうにか打開しようとするんです。
新規事業は上手く行かない時期が絶対にやってくる。
それを乗り越えられるかどうか。
自分からやりたいといってチャレンジした人間は、
どうにかやり抜こうとする。
苦境に陥ってもどうにかしようとする力。
これは経営者になる上で最も必要な力だと思いませんか」
新規事業、新業態へのチャレンジは
失敗のリスクがある。
だから専門部署を作って立ち上げをするのが
多くの会社かと思います。
この会社はそのやり方をしない。
だからこれだけの多様な業種・業態店舗が
増えていきました。
A社長は嬉しそうに言っていました。
「これだけの数の事業と業態。
私も全て把握していません。
詳細を聞かれても答えられません」
新規事業の開発を通じて、
経営者も同時に育成されています。
「なんとかする力」
曖昧な表現ですが
最も大事な力ではないでしょうか。
2024-10-06『一流の実行力』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
先日、A社長と対談をしました。
A社長は、それまで無名だった会社を
ブランド力ある会社に変えられました。
大事にしていた言葉が、
「一流の戦略をいい加減に実行するよりも、
二流・三流の戦略を確実に実行する方が効果的である」
一流の戦略であり、
それを実行できれば優位に立つことができる。
とはいえ、初めから一流の戦略を立てることが
なかなか難しい。
失敗を回避するために、一流の戦略を練ることで
チャンスを逃してしまうこともある。
それならば、上記で言っているように、
二流の戦略でも、一流の実行力があれば、
成果は出てくるでしょう。
二流の戦であっても、
経験値から練り直すこともできる。
市場内の立ち位置や業種にもよりもますが、
「実行力」によって、他社と差をつけている
例もあるかと思います。
「一流の実行力」がある会社だからこそ
見えてくる課題点もある。
それは実行したからこそぶつかる障害です。
一流の実行力ある会社へ。
すぐにやる。徹底的にやる。継続的にやる。
会社の実行力を磨きましょう。
2024-09-28『継続は力なり。継続こそ力なり』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
陰山建設株式会社様は、昭和59年から献血活動を始め、
(※簡易的な「カゲ」で表記)
2023年に40回目を迎えたことは前回、お話しました。
駅からタクシーを利用。
タクシーの運転手さんに陰山建設までお願いすると
「献血活動をやっている会社ね。
すごい人が集まってくるんだよ」
と地元自慢の様にお話を始めました。
M社は毎年敷地を使って、地元住民が参加できる花火大会を開催。
これも30年近くになると言われていました。
毎年のこのイベントを楽しみにされている住民がいます。
「今年はいつやるの?孫娘もつれて参加するから…」等と
声をかけられるそうです。
都田建設様は社内でランチバーベキュを始め
延べ700回以上。他社からの見学者も多数いらっしゃいます。
F社は会社の近くの清掃活動を始め約5年経ちました。
その活動を見た、F社以外の地域のボランティアさんも
参加するようになりました。
どの会社もポイントは「継続」。
継続によって、他社との違いを認識してもらえる。
継続によって、会社の特性を理解してもらえる。
継続によって、協力者や共感者が増えている。
継続することによって、
社内に「継続する文化」も醸成できますね。
継続している会社とそうでない会社とでは、
歴然な差があります。
「清掃活動」「献血活動」と文字にすれば同じなのですが、
現地で見聞きすると、
次元の違いを肌で感じることができます。
継続し続けた会社は、
もはや誰にも真似ができない領域に
たどり着いているのだと思います。
「継続は力なり」
「継続こそ力なり」
2024-09-20『恩返し・恩送り経営』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
十方よし.TV8月号のゲストは、
福島県で建設業を営む、
陰山建設株式会社の陰山社長。
(※簡易的な「カゲ」で表記)
こちらの会社は昭和59年から献血活動を始めています。
それから毎年継続し、
2023年に40回目を迎え、
日本最大規模の累計受付人数40,818人までに。
この活動は準備を含めると大掛かりなものになり、
会社の営業日も止めることになる。
「なぜ40回も継続できたのですか?」
とお聞きすると、
「協力業者の皆さんとこの活動を続けているから。
自社だけでとても難しい」
と答えられました。
同じ目的のために、
会社の枠を飛び越えた協力体制があるから、
ここまで続けられたというのです。
陰山建設さんの社会貢献活動は、
献血活動だけではありません。
関東・東北豪雨、熊本地震、能登半島地震など。
日本各地で災害があれば、有志を募って現地へ赴き、
復興支援活動へ取り掛かります。
地元福島県ならともかく、
熊本、岡山、石川と遠方にまで支援に乗り出す。
なぜそこまでできるのか。
「自分の会社は倒産しそうになったが、
周囲の協力者が助けてくれたから今がある。
そして福島の震災の時も、
遠方から福島に復興支援活動に来てくれたから」
と陰山社長は話します。
「恩返し・恩送り」を
経営の軸に据えているのです。
恩送り・恩返しするにしても、
自分がどれだけの御恩に恵まれているのか。
そこに気づくことが第一ステップです。
陰山社長のその感度に驚嘆します。
私であれば、
自分が目の前で災害に直面していなければ、
他人事になってしまうことがあります。
日本のどこかで災害があれば、
大変なことが起きているとは思いますが、
直接、手を差し伸べる行動まではできていません。
陰山社長の素早いアクションを見ると、
自分の責任範囲の狭さに反省してしまいます。
恩をお返しし続ける。
恩を送り続ける。
経営の中心に据えてみてはいかがでしょうか。
2024-09-13『米づくり農家が減り続ける理由』
こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。
新米が流通するまでの辛抱と言われていますが、
お米不足が深刻です。
福祉関係の事業では、
食事提供があるためお米の確保が必須。
しかしなかなか米は見つからず。
仮に見つかっても、割高過ぎて手が出ないことも。
そもそも昨年までは、
食パンやスパゲティなどの小麦製品が値上がりする一方で、
お米の価格は安定的に低いまま。
一時前までは、
コメの消費が減り続けているとニュースになっていました。
若い世代でコメ離れが進んでいると。
理由は、炊飯器を置くのが邪魔、米を炊くのが面倒、
パン食への移行、炭水化物は太るという思い込み等。
しかし直近では需要と供給のバランスが
大きく崩れました。
お米屋さんに行った際、
店主がこんなことを話されていました。
「お米が高い、高いと言われているが、
小麦に比べたら、本来はこの値段でも安いくらい。
日本のコメは安すぎる。安いということは、
農家が続けられないということ。
農家がもっと儲かるように、
米単価が上がらないといけない。
消費者は嫌がると思うけどね。
農家を近くで見る私からは、
もっと農家が豊かになってほしい」
安い米に慣れてしまっている私たちは、
今の値段は「高い」と感じてしまうかもしれない。
私の親族も米作りをしているので、
その苦労は理解している方です。
これだけ約1年間、苦労して働いて、
収穫をして、10キロ3,000円?…。
苦労して儲からないならば、
担い手はどんどん減ってしまいます。
異常な安さの裏側には、
誰かを逼迫させる可能性があります。
いずれは破綻し、持続できません。
不都合な真実です。