経営理念浸透ブログ

2023-08-20
『11年経っても70人の街』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

福島県双葉町に行ってきました。

双葉町は、2011年の東日本大震災に伴い発生した
東京電力福島第一原子力発電所事故で
全町避難を強いられました。

11年経ってようやく2022年8月に一部地域で避難指示が解除され、
住民の帰還が始まりました。

しかし一度離れた住民はなかなか戻らず。
7000人いた町民は現在は70名だと聞きます。

アンケートでは、避難先で自宅を購入・建築しており、
将来も継続的に居住する予定のため、
町に戻りたいと答えている人は11%だといいます。

 

さて2011年の震災時に、
福島第一原発ではどのようなことが起きていたのでしょうか。

映画『Fukushima 50』
ドラマ『THE DAYS』

門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』が
どちらも原作になっています。

これらは当時の状況を詳細に記しています。

東電と官邸との責任の押し付け合い、
東電本部と吉田所長含めた事故現場での意思疎通が
上手く行かないもどかしさ。

放射能の見えない恐怖も伝わってきます。

暴走した原発を止めなければいけないが、
制御装置のコントロールがきかない。

危険と隣り合わせの中で、有事のリーダーシップが見られます。

若い社員を守ろうと、ベテラン社員が
原子炉建屋内に突入する決死隊を志願する。

水素爆発後、万が一を想定し、
最低限の人間だけを残して、
他の多数社員や協力会社を安全な所へ避難させる。

 

過去に例がない大事故。
最後の最後まで考えつく限りの方法で冷却作業をし
”最悪の結果”を引き起こさないように最善を尽くします。

”最悪の結果”とは、首相の発言にもあったように、
「日本が北海道と西日本に分断されてしまう」。

つまりそれは福島を中心とし、
関東から東北まで人が住めなくなってしまうことを意味します。

賛否両論あると思いますが、
”最悪の結果”を招かなかったのは、
命を懸けて立ち向かったリーダーがいたから。

それは間違いありません。

 

2023-08-13
『失敗すらさせてもらえない新卒社員』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

A社では新卒社員が毎年10名前後入社しています。

新卒採用が途切れたことは直近10年間ではなく、
受け入れ側も「慣れている」ように見えます。

指導係役は、最近の若者の傾向ということを学習し、
時代に即したOJTを実施しているようです。

 

一人でも新卒社員が退職すると社内で大騒ぎになり、
「過敏反応かな?」と思うことも。

A社の新卒社員の話を聞くと
凹むほど「失敗の経験はなかった」と言います。

その新卒社員が優秀なのかと最初は思いましたが、
他新卒社員も同様のコメント。

「失敗レベルの経験はない。軽いミス程度です」
と言うのです。

新卒社員は凹みやすい
→転ばないように事前に丁寧に教える
 →言われた通り忠実にやれば失敗はない
  →「失敗の経験」がない

こういった因果関係があるように思います。

 

例えは適切かどうか分かりませんが、
わが子に過保護になっている親のようです。
先回りして子供がケガをしないように環境を整えてしまう。
ケガをすることさえ、させてもらえない子供。

「新卒の受け入れができている会社
 =新卒に過保護な会社」

こんな間違った方向にいっていませんか?

「失敗をしていない」という新卒社員が
自信や実力を身につけているか?と言えば
疑問が残ります。

 

失敗をさせてもらえないこと。
それも可哀そうなだなと思います。

失敗から学ぶことの方がはるかに多いですからね。

新卒社員に失敗の機会を与えてあげましょう。

 

2023-08-10
『業界の常識=他業界の非常識 PART2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

前回に引き続き、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内院長から学んだことです。

「私が大病院で勤務していた頃は、
 仕事はやって当たり前。
 褒められたことはありません。
 
 だから自分が開業した当時、
 スタッフを褒めることができませんでした。

 “やって当たり前”の環境で育ってきたので
 それが当然だと思っていました」

 

このように大河内院長は当時を振り返っていました。

医療や福祉分野の方は「共感疲労」になりやすいといいます。

共感疲労とは、大変な状況にある相手へ共感してしまうため、
自分が実際に体験しているわけではないのに
精神的に疲れてしまうこと。

感受性が強かったり、気遣いができる人、
使命感が強い人ほど共感疲労に陥りやすいといいます。

心が疲労していようが相手に尽くす仕事。
そして緊張感を持ち続けなければならない。

 

医療人は仕事であるから、
「褒められる」とか「感謝される」ことを
期待してもいけないという風潮さえ
あるのかもしれません。

大河内内科クリック様は、
「感謝しあうこと」「認め合うこと」といった
他業界ではごく当たり前に思えることを
真摯に取り入れていきました。

そういった取り組みの結果、離職率が下がり
看護士や医療事務スタッフが定着。
医療サービスの安定化と向上に繋がっていきました。

このくらいは「業界の常識」と思い込まれていること。
そこに魅力的な会社になれるヒントがありそうです。

 

2023-08-02
『業界の常識=他業界の非常識』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV7月号のゲストは、
愛知県稲沢市でクリニックを経営されている
大河内内科クリニックの大河内院長です。

2020年に「第10回日本で一番大切にしたい会社大賞」で実行委員会特別賞、
2021年 第7回ホワイト企業大賞で「医療経営革新賞」を受賞されています。

また大河内院長は
2023年「TED TALK」にも
歴史上日本人医師として初めて登壇されています。

いまや全国から同業者の方が見学に来られるクリニックになりました。

開業当時のクリニック内は、責任の押し付け合いが起きたり、ミスが連発。
次から次に人が辞めていき、危険な状態だったと言います。

そこから、「医療業界の常識」と思われており、
「他業界から見れば非常識」な点を改革していきます。

・ご家族の方へ手術(室)のオープン化
・複数のインフルエンザ治療薬の説明(効能と費用)と患者の選択権
・血液検査と健康診断結果を当日に渡すこと
・待ち時間を減らすためのブザーシステム
・マニュアルに縛られない治療方針(=様々な事情を持つ個に合わせた治療)
・糖尿病のダラダラ治療(=インスリン投与を止められない)からの脱却

上記が一例です。

どうしても医療現場は、
「病院>患者」という力関係で成り立ち、
現場が閉塞化されていたり、
患者目線の欠如が見受けられることがあります。

医療業界もサービス業化してきていますが
まだまだ「病院・医師>患者」という構図は崩れていません。

例えば診療予約システムで予約を入れていても、
1時間以上待つこともありますね。

他業界ならば予約時間から1時間以上待つならば、
クレームを入れるお客様もいるのではないでしょうか?

1時間以上待つならば、予約の意味がありませんね。

しかし我々は「病院はそういう所だから仕方がない」と
受け入れてしまっている。

病院側も「予定通りはいかない。仕方ない」と考え、
改善まで至らない。

「病院>患者」というパワーバランスの中で、
治療面、サービス面において、
なかなか進化していかない。

大河内内科クリニックさんは、
そういった他業界から見たら「おかしい」という所を
1つずつ変えてきました。

業界の常識=他業界の非常識。

我々の業界の常識をまずは疑ってみることから
始めてみましょう。

 

2023-07-22
『私のことは、私の言葉で、相談する力』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

皆さんは、困ったことは自分の言葉で、
相談するべき相手に相談ができていますか?

私は福祉事業(軽度の障害者グループホーム事業)もしています。
入居者側と運営側で信頼関係は大切です。
しかし、ちょっとしたことで不穏な関係になることがあります。

例えば入居者から、職員や責任者に直接相談がない中で、
突然、本部や代表者にご家族から直接連絡がいく。

「うちの子が○○の件で困っているようなんです。
対処してほしい」

簡単にいうと上記のような内容です。

現場の担当スタッフが聞けていれば、
早めに手を打てるのですが初めて聞く内容。

事実把握から始めていき、
必要な対処法を探していきます。

こちらのご両親は、

「うちの子は自分が困っていることを相手に伝えられない。
だから私が代わりに伝えてあげないといけないんです」

と言われていました。

「お母様は自分が彼・彼女の一番の理解者であり代弁者」
という認識なんですね。

もちろん職員が直接話を聴けるだけの関係性、
雰囲気づくり、機会づくりの努力は必要です。

一方でどのような社会であっても、
欲しい解決策がもらえるかどうかは別にして
「自分から相談できる力」
は自分を守る上で必要な力ではないでしょうか。

人を介することによって、情報が歪曲する。
今回のケースで言えばご両親を介する。

お母様は理解者ではない職員に不満を持つ。
不満を持てば、
様々な出来事をネガティブに捉える傾向になります。

これは福祉だけではなく、
子供のあらゆる習い事をお仕事にしている方は
体験済だと言われていました。

「うちの子が○○で困っている。自分では言えない子。
 だから親である私が代わりに伝えないといけない」

声に出して相談する力が子供にもある中で、
ご両親が代わりに介入してしまうことは、
両者間の信頼関係に亀裂が入ってしまうことがあります。

自分で解決できることが理想的。
それが難しいければ、
まずは自分で相談できる力を養えたらいいですね。

入居者さんへ最初の段階で毎回伝えていることは、

「○○さんが困っていることは
○○さんが自分の言葉で職員さんに相談してみてください。
それでも解決できない時は、私に直接相談してみてください」と。

これからあらゆる場で社会生活は続きます。
「相談できる力」はどこに行っても必要な気がしてなりません。

 

2023-07-13
『企業文化戦略 PART2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV6月号のゲストは、
iYell株式会社の窪田社長。

創立6年で従業員200名以上にまで成長。
従業員100名までは離職者0人でした。
今でも低い離職率です。

多くの場合、会社が急成長・急拡大をすれば、
それと引き換えに大量の人が辞めていきます。

創業メンバーも成長スピードについていけなかったり、
価値観がずれて会社が去り、ほとんど残っていないケースが多い。

しかしiYellさんは、創業メンバーは変わらず。
新しい役員がそこに加わっています。

そしてこれだけのスピードで成長していながら、
人材の定着率が高く、層が厚い。

社員さんが「会社に来るのが楽しい」「いい仲間に恵まれている」
と言われており、エンゲージメントも非常に高い集団です。

窪田社長は、こんなことを話されていました。

「人の問題は繊細に対処しなければならない。
むしろ数字よりも、人の問題は経営者のエネルギーを削り落としますよね。
経営者がエネルギーを削られて、会社が伸びるわけないですよね?
私も悩むのは人の問題。だから人の問題が起きないように、
企業文化に最も時間を割いているのです」

事業が順調に見えても、組織がグチャグチャになって、
一時をピークに低迷していく企業をたくさん見てきたと言います。

一次的な成長ではなく、
成長を続ける会社になるためには?

それを教えてくれるのがiYellさんでした。

 

2023-07-05
『企業文化戦略 PART1』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

十方よし.TV6月号のゲストは、
iYell株式会社の窪田社長。

何百種類もあると言われる住宅ローン。
この住宅ローンに日本で最も精通し、
テクノロジーを導入したのが窪田社長。

創業1年目から単月黒字を達成する事業を確立。
大手不動産企業との業務提携をするなど急成長中です。

バリュー経営という同じ価値観をもった社員を採用し
離職率2%台。

働きがいのある会社ランキングでは6年連続入賞、
ホワイト企業大賞・大賞を2年連続受賞するなど、
外部からも高い評価をされる組織を作り上げています。

どのような事業をやるか、
創業時には決まっていなかった。

決まっているのは出資と誰と事業をやるか。

バリュー経営を実践する上で、300人規模になっても
「誰とやるか」に重きを置いています。

そのため多くの方が新卒・中途面接に訪れますが、
入社される方は一部。狭き門となっています。

創業時から窪田社長と幹部が続けていること。

それは毎日1時間、
「バリューについて語り合う」ということ。

思わず
「毎日ですか?」と聞き返してしまいました。

「市場の中でビジネスモデルの優位性でリードできるのは、
 わずか数年。私たちは1000年続く会社にしたい。
 それを可能にするのは、どのような企業文化を残すか。
 よきカルチャーを作ることに重きを置いている」

と言われていました。

製品や商品と違い、
企業文化は目に見える物ではありません。
他社から見えにくく、マネされない。

価値ある製品や商品を生み出し続けている秘密は、
企業文化であることもある。

ですから市場に投入された製品や商品を
真似るだけでは、一生追いつくことができません。

企業文化戦略の意義。
それを教えてくれるのがiYellさんです。

 

2023-06-30
『本質を細胞に染み込ませる』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

先日、2年ぶりぐらいになりますが、
大久保先生の講演会に参加しました。

毎回、台本も資料もありません。

会場の雰囲気を感じ取りながら
様々な事例を出されて、本質的な話をされます。

本質的な話を繰り返しますので、
「そういえば前回の講演会でも、
 おっしゃっていたな…」ということがあります。

しかしそれはまた違ったレベルで気づきがあったり、
前回、聞き流してしまっていた箇所に、
深い感銘を覚えたりします。

講師の方が一流であっても、
結局、受け手の器以上のものは吸収できない。

自分の体験と照らし合わせながら、
講演の内容を聴いていきますよね。

体験、すなわち実践が乏しいと、
空想の中でしか理解できない。
実感すらないかもしれません。

講師の話を聞いて、今日、気づけたことは、
自身の器そのものであり、
今の自分にとって必要なものです。

講演をたくさん聞いている方の中で、
「あの講師は○○」だと、講師評論家の方がいます。

たぶん本質まで理解されていませんね。

同じ書籍を読んでも、同じ講師の話を聞いても
毎回異なる気づきがある。
それは自分が成長している証です。

本質的な話ほど、細胞に染み込むまで繰り返して聞く。

それくらいの姿勢が必要なのかもしれません。

 

2023-06-22
『10歳になりました』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

本日で会社を設立して丸9年。
10年目に突入しました。

利益では様々なものに投資をして赤字決算の年もありましたが、
売上は9年連続増収という結果になりそうです。

創業時から、伊那食品工業さんが言われるように
「年輪」のように会社が成長していくことを目標にしてきました。

結果だけを見れば増収に終わっていますが、
「1歩進んで1歩下がる。そこから意地で0.5歩進む」

それを繰り返してきているように思います。

弊社のような小さな会社でさえ、
前進と後退を繰り返しているわけですから、
他企業さんはそれ以上だと思います。

マスコミ等で取り上げられる会社を見ると、
どうしても華やかな結果にばかり目が行きがちです。

しかしその結果を生み出すために、
見えない所で、前進と後退、成功と失敗を
とにかく繰り返している。

失敗をしながらも前に進んでいく気概。
事業を通じて社会課題を解決したいという熱い思い。

これらが失われたとき、
潔く経営者として引退をするべき時ですね。

 

2023-06-14
『全国からお客様が訪れるローカルスーパー PART2』

こんにちは。
理念浸透コンサルタントの松本です。

 

十方よし.TV5月号のゲストは、
ひまわり市場の那波社長。

八ヶ岳山麓に「ひまわり市場」というローカルスーパーがあります。
近隣以外、遠方から遥々、このスーパーを目指して
足を運ぶお客様もいます。

また移住先としていろいろな場所を検討していた中で、
「ひまわり市場」があるから、
この八ヶ岳に引越すことを決意したという方も。

メンマやウィンナー、メンチカツ。
オリジナルで開発した商品が並びます。

また他のスーパーでは見かけないドレッシング、
調味料等も並びます。

馬刺しが並んだり、
地元でとれた新鮮やな野菜や果物、卵なども並びます。

山梨県としては珍しく、
クエなどの新鮮な高級魚も魚介類も並びます。

各担当バイヤーに一任し、仕入基準はなし。

「ひまわりらしいもの」しか置かない。
「らしさ」は自分で考えることになっています。

熊本の漁港で取れたお魚が週末に届きます。
なんとここには発注票が存在しません。

つまりスーパー側から何をいくつ欲しいというオーダーがない。
発注書がない売手と買手の関係があるんです。

那波社長は、

「漁師さんたちがこれは上手い。
これは間違いないと思ったものを好きなだけ送ってくれ!」

とお願いしているそうです

目利きは完全に漁師さんを信じる。
送られてきたものはこちらが全力で売る。

店内には人間味あるPOPが並び、
那波社長のマイクパフォーマンスが響きます。

価値を最大化しようと、
生産者や開発者の思いを
お客様へ精一杯伝える努力をされています。

「売り切るのは私の仕事」と那波社長は言われていますが、
信頼関係で成り立っています。

こういった尖った食品しかないから、
近くのドラックストアと競合しない。

むしろ生活者から見れば、ないと困る。
共存の関係が作られているのでした。

美味しものを食べて、健康になれる。
そして買い物が楽しくなるスーパーでした。