十方よし.TV 7月号のゲストは
大黒屋の室井会長。
創業1551年から続く老舗旅館。
ただし一般的な旅館とは一線を引き、
アートスタイル経営を軸においています。
現代美術家である菅木志雄氏の協力の元、
「天の点景」という作品を庭に作ります。
また菅氏に空海の思想を表現してほしいと
依頼をし、「風の耕路」というものを作りました。
空海の思想とは、
6大「火・水・地・風・空・識」のこと。
これらの要素が感じられる場になっています。
庭には薪から煙が上り、
この煙から「風」を感じてもらいたい。
五感を使って大黒屋を味わってもらうためだと。
何とも居心地のよい空間でした。
館内にはアート作品が並び、
定期的に展示会も開かれています。
アートスタイル経営になってから、
来られるお客様の層が変わったといいます。
二人部屋の広さを一人部屋として使える部屋も用意し、
数日、一人で滞在されて帰る方もいるそうです。
本来は二人部屋にした方が収益性はよいのですが、
あえて一人で来られるお客様にも気兼ねなく
利用してほしいという願い。
時間軸で捉えて、投資対効果を考えてほしいと
銀行へ説得されたようです。
大黒屋の現地に行くまでは、
「美術作品が館内に並んでおり、
美的センスに拘っている旅館」
と思っていました。
しかし根本的な発想がそもそも違いました。
思想哲学を美で表現する。
旅館に並ぶ作品にもメッセージがあり、
長い時間と高額な費用をかけて作った庭園にも
哲学が詰まっています。
哲学を表現する場が旅館だったのです。
室井会長が
「経営とは哲学である」
と言っていた意味が現地をみて分かりました。
同業者の視察者も多いそうですが、
おそらく同じようなことを思うでしょう。
美術作品を単に集めて旅館内に並べることが
アートスタイル経営ではないと。
今までにない新感覚の旅館でした。
根強いファン(リピーター73%)がいるのも納得です。
那須塩原方面に行かれた時は、
ぜひ大黒屋に泊まり、
居心地の良い感覚を味わってみてください。